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◇一緒に居たい理由*拓哉2/2

 オレにとって、織田の何が可愛いんだろう、と何回も思うけど。  ――――……結論として、やっぱり、全部が可愛いみたいで。  今迄感じた事のない、庇護欲というか。  可愛がって、優しくして、その笑顔とか、素直なとこをずっと守ってやりたい、というか。  ――――……あれ、オレ、これって。  ………もしかして、本当に、好きなのか?  いつからか、そう思う瞬間が、出てきて。  ただ、男を恋愛対象になんかした事が無いから、よく分からない。  ただ、友達として、人として、すごく好きなのか。  それにしては、好き過ぎる気もしていたけれど。    それに何より。やっぱり、織田は、オレと恋愛関係になろうとは、思っていなそうだった。  同期達と、研修が落ち着いたら合コンしようと話してるのも聞いた。  その時、早く彼女欲しいなー、とも、言ってたし。  だから、オレは、好きかなと思いながらも。  心の中で、思い切りブレーキをかけている感じ。  これ以上、そういう意味かもしれない、「好き」は増やさずに。  同期として。仲間として。友達として。  仲良くできていればいい。  そう思おうとしていた。  新入社員研修の1ケ月は、ランチで外に出たり、研修後に同期と夕飯や飲みに出たり、そういう機会がやたら多い日々だった。  織田と並んで、道を歩く機会も多かったけれど。  やたら、通りすがりに話しかけられているのを目にした。  道を聞きたい奴って、こんなに居るのかと、思う位。  困ってそうな人には、自分から話しかけてしまったりもするから余計。  一緒に入った店でも、よく店員と話してる。楽しそうにすぐ盛り上がって話す。  織田の顔って――――…話しかけたく、なる顔なのかな。  そんな風に、その顔を、しみじみと眺めてしまった事もある位。  またその話しかけられる事を、面倒くさがりもせずに。というか、慣れてるのか、それをなんとも思わないんだろう、すぐに笑顔で返事をする。  店への勧誘なんかも嫌がらず話を聞くから、皆で飲みに行っていて2次会に移動、となった時、はたと気づくと織田が見当たらず。  皆で周りを見渡すと、呼び込み数人に囲まれて、楽しそうに笑っていたり。  そういうとこが、本当に、オレ的には意味が分からなかった。  一緒にいて、あんなにいろんな人間と話をする奴を見たことが無い。  一度、そんな話をした事があった。 「織田って、よく知らない人に話しかけられるよな」 「――――……え? どういう意味?」 「道聞かれたり、急に世間話してたり」 「……んー、たまに、かな?」 「……しょっちゅう、知らない人と話してるだろ?」 「うーん……そうでもない……かな??」  特に、自覚してる訳ではなさそうだった。  多分、あれが普通なんだろう。特別な事じゃないというような、不思議そうな顔で。  ―――……和むもんな。  話しかけたく、なるよな。と、勝手に納得した。  オレが、そんなのを好んでるなんて、すごい不思議だけれど。  織田といると、なんだか、すごく和む。  ――――……そういえば、会った時からだったなあと、思って  何でかずっと、気になって。  可愛く思えて。  和んで。  オレを好きだという視線が。嬉しそうな笑顔が  ――――……どうしても可愛くて。  オレが織田と居たい理由が、どんどん増えて行って。   マズイなあ、と思いながらも。なんだかどうしようもないまま。  日々を過ごしていた。

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