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◇織田の居ない飲み会の後*拓哉
皆と別れて、ホームに向かう。
織田、どうしてる、かな。
もう帰れてるかな。……駅で待ち合せて一緒に帰れば良かった。
……って、恋人同士じゃあるまいし、男同士でしないか、そんな事。
――――……駅で会えたらいいなと思ったけど、さすがに会えないか……。
本当に、どんだけ織田が気になるんだか。
まだ飲んでるかもしれないし、邪魔するのもなんだし、
電話は一瞬ためらうけれど。
もうすぐホームについて、電車に乗ったら電話はできないし。
とりあえず数コールだけ鳴らして、出なかったら、諦めてメッセージだけ入れとこ。
電話を鳴らしたら、1コールで、すぐに出た。
『……もしもし?』
「――――……出るの早いな」
『スマホ持ってたから』
この感じだともう飲みは終わってるかな。
「そか。……織田、もう帰った?」
『帰るとこだよ。今ホーム』
「――――……オレも今からホームにおりるとこだけど」
『え』
ホーム? 新宿の?
あと少しで、そのホームに降りるけど――――……
ホームって言っても、降りる階段もいくつもあるからな……。
ホームには、飲み会終わりの、結構な人。
けれど――――……。
携帯を持ったまま、こちらを見上げている織田を、すぐに見つけた。
――――……織田だ。
何だか、すごく嬉しくて。
足早に近づくと、ぽわぽわした笑顔で、見上げてくる。
あー……。
ほんと、可愛いな……。
飲み会の話を少しして。
迎えに行こうと思っていた事を話すと、不思議そうな顔をされた。
「――――…… オレんちに来ないかなーと思って」
「……いいの??」
ぱっと笑顔になって嬉しそうに、笑う。
「……いいのていうか、来てほしいから、言ってるんだけど……」
そう言うと、「行く」と即答。
――――……本当に、可愛いんだけど。
「じゃ、決まりな」
「うん」
「織田、明日、用事は?」
「用事入れてない」
「じゃ、またゆっくりしよ。 帰ったら飲み直す?」
「うん、そうしよ。なんか買っていこー」
「あれ。そういや織田、全然酔ってない?」
「あんま飲むなっていう高瀬の声が聞こえて……」
なんて言いながら、笑ってる。
「そっか」
「あ、でも最初は結構飲んでたよ。 2次会からセーブして、覚ましてから帰ってきた」
「偉い偉い」
「なにそれ」
あは、と笑う織田の笑顔。
数時間離れてただけなのに。
なんかほんと――――……会えて嬉しいって。
こんなのは、ほんとに、初めてかも。
側で、楽しそうに笑いながら、見上げてくる織田。
つい、ふ、と、手を伸ばして、その頭を撫でた。
「え」
きょとんとした後、かあっと赤くなった織田に。
ふ、と笑んで。
「――――…… お前の笑ってる顔、好き」
思わず正直に言ってしまいながら、よしよし、と撫でると。
ぴきーん、と固まって、織田が俯いた。
「おだ……??」
「……ほんと、やめてもらっていい?」
真っ赤な織田が、眉をひそめながら。
「からかうの、ほんとやめて」
ばってんみたいな顔になった織田に、ぷ、と笑いながら。
「――――……からかってなんかないよ」
「……っっ…… どっちでもいいから、もう何も言わないで」
全然こっちを向いてくれない織田に、笑ってしまいながら。
ほんとに。
――――……なんか、可愛くて。
……どうしたらいいのかよく分からない……。
とにかく、一緒に居ると、楽しくて。
自然と笑んでる自分が、自分で不思議で。
きっとさっき会ってた奴らが今のオレを見たら、また騒ぐんだろうな、なんて思いながら。
そっぽを向いてる織田にちょっかいかけて、笑わせつつ、
一緒に、電車に乗り込んだ。
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