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◇高瀬の居ない飲み会の後*圭

 23時30分。  皆と別れて、電車のホーム。  電車が来るまで、7分ある。  ――――……高瀬、まだ飲んでるのかなあ。  終電までなら、時間まだあるし。  ……連絡してみようかな。  ……いやでも、飲みに行ってるの知ってる訳だし、ウザイかな……。  ……そもそも何て連絡するんだ。  やっぱりやめとこ。  思って、スマホをしまおうとした瞬間。  ぶるぶる、とスマホが振動。  ――――……あ。……高瀬、だ。 「……もしもし?」 『――――……出るの早いな』  クスクス笑う高瀬の声。  なんだか、すごく嬉しくなる。 「スマホ持ってたから」 『そか。……織田、もう帰った?』  優しい、声。  ああ、なんか――――…… 会いたいなあ、高瀬。 「帰るとこだよ。今ホーム」 『――――……オレも今からホームにおりるとこだけど……』 「え」  今下りてきたばかりの、エスカレーターに咄嗟に視線を向けたら。  ――――……なんか、ドラマのワンシーンみたい。  オレと、電話してくれてる、高瀬が。  エスカレーターに乗って、降りてきた。  金曜の新宿、この時間なので、人はいっぱい居るのに。  高瀬のとこだけ切り取られてるみたいに、目に入ってきた。  それがまた、ほんとにカッコよくて。  このまま、映画とか撮れるんじゃないかな。  なんて、よく分からない事を、思ってしまう。  目が合った瞬間。ふ、と高瀬が笑って。  耳からスマホを外した。  最後の数段、とんとん、と歩いて降りてきて、オレの側で立ち止まった。 「織田……」 「――――……高瀬……」  なんか、泣きそう。  高瀬は何だかすこし照れくさそうに、笑ってる。 「……さすがに、びっくり」 「……え?」 「織田、駅で会えればいいなと思ったら、ほんとに、居た」  すごく嬉しそうに、高瀬が笑う。  返答に困って、黙る。 「――――……楽しかった?飲み会」 「あ、うん。楽しかった。 高瀬は?」 「楽しかったよ。久しぶりだったし」 「そっか」 「でもさ――――……なんか織田が居ないのが、変な感じでさ……」 「――――……」  そんな言葉に、高瀬を見上げる。    「今、どこにいるか聞いて、迎えに行こうかなと思ってたんだ」 「――――……」 「もちろん帰ってたらそれで良かったんだけど」 「……迎え……ってどういう事?」 「――――…… オレんちに来ないかなーと思って」 「……いいの??」 「……いいのていうか、来てほしいから、言ってるんだけど……」 「――――……行く」  ――――……即答、してしまった。

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