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◇祭りの余韻*圭

 土曜は高瀬とお祭りに行った。  浴衣を着た高瀬はめっちゃカッコよくて、道行く人が、自然と目で追う感じ。女の子ばかりでなく、通る人がふと視線を向けてくる。  うーん。  これだけカッコ良すぎて目立つと、大変だなあ……と、思ってしまう位。  でもなんか、高瀬は慣れてるのか、全然その視線に反応はしない。  ほんとカッコよくて、ウキウキしながら一緒に過ごした。  夕食も、祭りで食べて、お酒も飲んで。  結局、土曜も、浴衣のまま高瀬の家に帰ってしまった。  日曜の午前は高瀬とまた映画を見て、お昼を駅前で食べて。  改札で別れて、自分のマンションに帰った。  なんか。  夏祭り、高瀬と超、満喫して。ほんと楽しかった。  金曜の飲み会から、土曜日曜までずっと2人で過ごして。  楽しすぎて。  まだその余韻をひきずったまま、月曜、出社してきた。  早く来たので、まだ、高瀬は来てなかった。  コーヒー飲も……。  休憩室に行って、紙コップにコーヒーを淹れて。ミルクを入れる。  ふ、と冷ましながら、ベンチに腰かけた。  高瀬の浴衣姿。ほんと、カッコよかったなあ……。  あ。そーだ。  スマホを取り出して、周りに人が居ない事を確認。特に背後。  なんか気になるので、椅子を移動して、壁が背後になるベンチに座り直した。  こないだ、記念にって言って、撮った浴衣の写真。  オレも高瀬も1人ずつ撮って、その後、2人でも撮った。  焼き鳥やさんの横に設置してあったテーブルで、酔いの勢いを借りて、一緒に写真撮りたいなーと言ってたら、焼き鳥屋のおばちゃんが、撮ってあげようか?と言ってくれて。何枚か、連写してくれた。  高瀬も楽しそうにしてて。オレは言うまでもなく、楽しそうに写ってて。  あ。まだ高瀬に写真送ってなかった。  ――――……昨日から、何回も見てたのに。  んー……どれ送ろう。  高瀬1人のは送るとして……。  ……オレ1人のは要らないよね。と考えた所で、ぷ、と笑ってしまいそうになる。 普通送らないよね。ギャグになっちゃうな、きっと。  笑いを堪えつつ。  高瀬1人のと、2人で写ってるのの良さそうなの……。  探してると。 「織田」  急に、大好きな声がして、あ、高瀬、と思ったら。隣に、今日はスーツ姿がカッコイイ、高瀬が座った。 「おはよ。PC開いてて居なかったから、コーヒーかなと思って」 「うん。おはよ。週末、色々ありがとね」  言ったら、高瀬が、ふ、と目を細めて。 「こちらこそ。なんかずっと楽しかったよな」  なんて、言ってくれる。  なんか。……ほんと、高瀬、好きなんだけど。  気分が上がるんだよね。高瀬と喋ると。 「高瀬もコーヒー飲む?」 「今はいいや。 何? 浴衣の写真見てたの?」 「うん。高瀬に送ってなかったなーと思って。送ろうとしてて。どれ、欲しい?」 「見せて」  高瀬が顔を寄せて、ひょい、と覗いてくる。  ……近い。  意識してしまうのは、オレがいけないのかな。  なんか、本当に、高瀬との距離が、近くて。  いつも、ドキドキしてしまう。

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