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◇
土曜も日曜も、自分のマンションで1人悶々と過ごした。
落ち着いて考えようが、変わらない。
高瀬の事は、やっぱり、とにかく好きだった。
ルックスだけじゃない。 ルックスだけだったら、こんなに長々、想いは続いてない。
一緒に仕事してても頼りになるし、同期だけど尊敬できるし、仕事以外でも、本当に優しくて、すごく良い奴で。本当に、人として、これ以上無いくらい、好きな存在になってしまっている。
見つめられるだけで、ドキドキしてしまうし。
というか、いつも会社の席も隣なのに、少し離れた時に、遠くに姿を見つけるだけで一瞬喜んでる自分が居る事も、知ってる。
……だけど、やっぱり。
良かった、のかな……?
誰にも知られないところで、ただ心の中で、高瀬を好きで。
かっこいいなあ、てしみじみ思って、楽しんでた、この勝手な気持ちも、
恋人、なんてものになったら、そんな勝手に好きでいる訳にもいかないだろうし。 なんか、色々な、今からでは想像できないような問題も、起こってきそうだし。
……でも。
男同士で、あんな風に抱き合う事ができるなんて。
いや、何となく、できるんだろうなとは思っていたけど、なんか、その、ぼんやりと頭の片隅で形も取らずに思っていた事と、現実が、あまりにもかけ離れていた、というか。
実際抱かれる時がくるなんて、思ってもなかったし、
……抱かれて、自分が、あんな風になってしまうなんて、想定外。
ていうか――――……。
繰り返し、何度も考える事は。最中、ずっと高瀬が言ってた、可愛いとか、好き、とか。何度も浮かぶ。
可愛いってなんだろう。
好きって、なんなんだろう。
高瀬の中の「可愛い」の基準て、何なの。
そこに、オレが、何で入るのか、もう究極の謎。
何度も、可愛いって、聞いたけど。
謎すぎて、全然、しっくりこない。
土曜に、逃げるように高瀬のマンションを出る時に、高瀬が言った。
「お前が1人でちゃんと考えてくるなら、月曜、会社で会うまでは連絡しないけど、その方がいい?」
こう言われたので、数秒止まった後。 「……うん」と答えた。
そしたら、「体心配だし、家に無事着いた時に、連絡して?」と優しく言われたので、家に帰った時に、「ちゃんと着いたよ」とだけ入れた。
「良かった。了解、ゆっくりして」とだけ入ってきた。
その後、約束通り、連絡はない。
延々と堂々巡りで同じ事だけを考えながら。
オレは、週末を、完全引きこもり状態で過ごした。
そして。
来なければイイと思ってしまっていた、月曜日は、当然だけれどやってきた。
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