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衝撃的だった土曜日の朝。
オレは、高瀬のマンションを出て、何とかかんとか自分のマンションに帰ってきた。
ベッドに倒れて、何となく枕を抱える。
最近悶える時、いっつもこうしてしまうのは何でなんだか。
――――……帰ってくる間にも、どんどん、記憶はよみがえって、もはや金曜の夜の事は、ばっちり思い出してる。
セリフとかも、全部。
高瀬が、言ってくれた言葉も
オレがいっぱい言っちゃった、恥ずかしい言葉も、
……夜ベッドの中で、めちゃくちゃ煽るような事言って、抱き付いた事も。
「~~~~っっ!!!」
最後の所で死にそうになって、声にならない声で枕に沈む。
ダメだ、オレ、ほんと、とりあえずベッドの中、どうかしてた。
いや、ちがう、泣きながら、もう高瀬んち、来ないって。あそこらへんも。
何なの、オレ、小学生なの?
恥ずかしすぎるんだけど。
ううううー…。
あのカッコイイ高瀬の前で、どんだけ醜態晒して、
でもなんでそんなアホなオレを、高瀬は好きだなんて……。
ていうか、高瀬を泣かせてしまった。
……オレが、高瀬を好きでいるのが嫌、とか。
勘違いさせてたみたいで。
……結婚したいとか 子供が欲しいとか、
そうしなきゃって思いながらのオレの発言を、高瀬はマジで受け取って、しかも、それで、泣いてくれた??
…………え、何で??
…………オレが、高瀬を好きでいるのが辛いって、思ってた高瀬は。
それが辛くて、泣いた、んだよね……?
高瀬の事、知り合ってからずっと見てたけど。
絶対泣くようなタイプじゃない。
辛い事があっても、押し殺して、絶対人前で出すようなタイプじゃない。
高校生の時の親の不倫ですら、自分の中で……ってタイプの人なのに。
……高瀬の涙なんて。
――――……超貴重だったんじゃ。
とか、いやもう、オレ、訳わかんないから!!
……で。
……自分でも泣いたのびっくりした高瀬が。
オレを好きって、言ってくれて。
――――……酔ってて、馬鹿素直になってたオレは、もう。
何も考える事もなく、好き、わあ嬉しい、オレも好き、と言って。抱き付いて。……エッチできるかみたいな事を自ら聞き。
……一緒にスマホなんかで調べ。高瀬に上で良いかとか、聞き。
…………キスして、抑えようとしてくれてる高瀬に、止めなくていいと、誘い。甘えまくって、最後まで――――……。
…………え、昨日のオレ、馬鹿なの?
何してくれてんの? 高瀬に。
付き合おうって言うのが後になったとか、高瀬、今日言ってくれたけど。
完全にオレのせいだと思う。
なんか、高瀬が好きって言ってくれたのが嬉しくて、
すごい浮かれて、キスしたくて、触れたくて。
――――……好きって言ってはくれてたけど、高瀬は、きっとオレが聞かなかったら、スマホで調べてなんか無いし、絶対、昨日、あんなことまでしてなかったと思う。
高瀬の好きが、どの程度だったのか、分かんないけど。
付き合うとかの話もしない内に、オレが……。
うわーん、馬鹿―!!
何してんの、ほんと、昨日のオレー!
誰か。
神様。
時を戻してくれないだろうか。
戻してくれたら、高瀬が好きって言ってくれた時にもどって。
オレも好きって言って。
ちゃんと2人で、色々話して。
付き合うとかも、もっとちゃんと2人で考えて。
もしも付き合う事になるなら……
ちょっとだけキス、したり、してみたりして。
なんなら、いっしょに寝ちゃったりなんかもしたりして。
………………昨日の所は、それで、良かったんじゃないだろうか。
絶対そうだよね、それが良かったよね。
オレ達男同士なんだし、もっと色々話す事だって、あったんじゃないのかな。なのに、頭ふわふわしてたバカなオレが……。
――――……良かったのかな、高瀬は。
オレを好き、とは言ってくれてた。
今まで、めちゃくちゃ優しくて、意味深だった高瀬のセリフが、全部、そういう好きだったんだって思えるなら、なんかすごく、納得も出来る気がする位。好きって、言ってくれて、見つめてくれた。
好き、ていう気持ちがあるっていうのは、なんか、昨日の高瀬を思い出せば、信じられる。
…………でも、好き、なのと。
男と寝ちゃったりって、ちょっと、大分、違くない……?
何かオレ、ほいほいとそちらに持ってって。
抱かせてしまった、ような……。
いやいやいやいやいやいや……っ。
朝起きた時から、そんな気がしてて、死にそうだったけど、
こうして考えてると、ますますそんな気がしてきて。
こりゃもうだめだ。
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