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 食事を終えて、一緒に並んで、食器を洗う。  それすら、めちゃくちゃドキドキする。  泡立てて食器を洗って、洗い桶に入れてるオレの手が、高瀬の手に触れてしまった。 「あ……ごめ、ん」  ドキドキが半端なくて、もう、手が震えそうな気がしてくる。 「――――……大丈夫だよ」  高瀬の、優しい声につられて顔を見て。  優しい視線に、どきん、と胸が弾む。  もう、なんか、息が出来なくなりそうなんだけど、どうしたらいいんだ。  本気で手がプルプル震えだしそうで、スポンジをぎゅーと握りながら食器を洗う。  すぐに洗い終わってしまったので、布巾を洗って、テーブルを拭きに移動。  高瀬と離れられて、少しほっとして。落ち着けーと自分に唱えながら、念入りにテーブルを拭く。その間に、高瀬が食器を流し終わった。台所に戻って、布巾を洗って、干す。  ……洗い終わっちゃった。  うう。話さないと。一体、どこから……。 「――――……あのさ、織田」 「え?」  不意に呼ばれたと思ったら。  後ろから、ぎゅ、と、抱き締められてしまった。 「――――……っ」  ちょちょちょ、ちょ……む、むりっ!  思いながらも動けず、固まっていると。 「ごめん、なんか……すごい、戸惑ってる?」 「――――……」 「全然、目、合わせないし」 「――――……」 「……嫌だった? 昨日の」 「……っ」  プルプルプル。  思い切り、首を振る。  嫌だったなんて、ある訳ない。  嫌な訳ない。  大好きすぎて、すごい、嬉しい、けど。  戸惑いと、何でだろっていうのと、恥ずかしいのと、  なんかもう、どうしたらいいか分からないだけで。 「……嫌じゃ、なかった?」 「うん。 ごめん、いっぱいいっぱいな、だけで――――……」  高瀬の腕の中で、ゆっくり振り返って、高瀬を見上げた。 「――――……」  見上げた瞬間、かあっと血がのぼる。  だ、めだ、これ。 「…………っ」  でも、まっすぐすぎる視線から、外せなくて。 「また真っ赤――――……」  言った高瀬に、ぎゅ、と抱き締められた。  優しい感じで。 「可愛いなー、織田……」 「…………っ???」  だめだ、オレ、恥ずかしすぎて、憤死しそうなんだけど……っ。 「た、高瀬……?」 「オレ、織田が好きだよ。すげえ、好き。今まで会った中で、ダントツ、好き」 「――――……っ」  それは、オレも――――……。  オレも、そう、なんだけど。  強張っていたら。  ふ、と優しいキスを唇にされて。  ますます、赤くなってしまう。 「織田、ちょっと――――…… 平気??」  昨日、あんなことまでしたのに、キスごときで、死にそうになってるオレを心配して、高瀬がのぞき込んでくる。 「高瀬、あの、ね……あの……っ……」 「うん」 「――――……っ……ごめん、あの……高瀬」 「うん」 「……っオレ、……帰って、いい?」 「――――……」 「……まともに……話せない、から。一回、1人で……」 「――――……1人で考えたい?」 「……うん……」 「まあ……いいけど。 じゃあ、オレの話を聞いてからにして?」  そう言われて。オレは、高瀬をゆっくり、見上げた。 「昨夜、織田とキスしてさ、そのまま最後までしちゃってさ。……大事な事、言うのが、後になったんだけど」 「――――……」 大好きすぎる、まっすぐな瞳が、じっと、オレを見つめた。 「……オレ、織田の事が、本当にすごく好きだから――――……   オレと、付き合ってほしい」 「――――……」  オレも、好き。  ――――……すごく、好き。 「あ、の……」 「いいよ、今答えなくて。1人になって、昨日の事とか、ゆっくり考えて、――――……オレのこの答えも、考えてきて?」   言いかけた返事を止められて、高瀬にそう言われた。 「オレも、ちゃんと考えておくから」 「……」  うん、と頷く。 「でも、落ち着いて考えるってだけで。 オレは、織田と付き合いたいのは変わらない。 織田の事が、大好きだから」 「うん。……オレも――――……高瀬、好き」  一生懸命、なんとか、それだけは伝えると。  高瀬は、ふ、と笑って。  オレの頭をくしゃくしゃ、撫でてくれた。

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