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「お風呂、ありがとう……」  言いながら、リビングに行くと。  高瀬が、コーヒーを飲みながら、くる、と振り返って、苦笑い。 「すっごいゆっくりだったな」 「……うん」  キスマークとかに慌てふためいて、  昨日の記憶に暴れてました。  とは、言えないけど。 「パン焼くから、座って」 「……うん」  言われて、座ると。  スクランブルエッグとウインナーとサラダ。  高瀬の作ってくれる朝ごはん、いつも、こんな感じ。ちゃんとしてる。 「水飲みな?」 「うん」  喉に水が入ると。   すっごく、美味しい。体にしみわたる気がする。  ――――……昨日高瀬と、して。声。出して。  そのまま寝てたから……喉、すごい、乾いてたのかも……。  顔、また熱くなってくる。  だめだーもう、これ。  普通の顔、出来ない。  パンが焼けて、トースターの方を向いてた高瀬が、皿にのせて運んできてくれて、オレの目の前に座った。ふと、オレに気付いて。くす、と笑った。 「……真っ赤、織田」  クスクス笑う高瀬に、俯いてしまう。 「とりあえず食べよっか。ほら」  パンを渡されて、頷く。  バターを塗りながら、目の前の、朝からめちゃくちゃカッコいい人をついつい眺める。  ……キスしちゃった。高瀬と。  ――――……抱かれ、て、しまった。    数えきれないくらい、好きって、言ってしまった。  高瀬も、可愛いとか、好きとか。  めちゃくちゃ、言ってた。  ――――……っっっ……恥ずかしすぎて、味、分かんない。  ひたすら噛んでるけど、いつもみたいに美味しく感じない。 「織田、体、痛いとこない?」 「……大丈夫」  ぷるぷる首を振って答える。  体痛いとこ。  ――――……痛いとこ……って……。  …………っっっ。  また急激に、顔が熱くなる。  わああああ、もう何も、言わないでー、無理。  っ無理だってばー!!!  高瀬が、ぷ、と笑い出した。  え。  高瀬を見上げると。 「あ、ごめん――――…… また真っ赤になったから」  クスクス笑う。 「ごめん、食べ終わるまで黙っとく。ニュースでもつける?」  答えは聞かず、立ち上がった高瀬が、テレビをつけてくれる。  テレビの音がしてると、話さなくても良くて、少しだけホッとする。  ――――……ああ、なんか。  優しいなあ。高瀬。  ……大混乱してるオレが、悪いだけなのに。  ああ、でも――――……。  昨日まで、想いを口にする事すら、一生無いって思ってたのに。  酔ったせいで。泣いて……高瀬まで泣いてくれて……。  …………すき……とか。  好き――――……。  …………って何で、好き?  こんなにカッコいい人が。  男のオレ、好きなんて。 ある??  でもいっぱい好きって、言ってくれたけど……っっ。  恥ずかしくなる位……っ。  どうしよう。  ――――……どうしたらいいんだろう。  ……普通に話せないよ、どうしよう。 「織田」 「……っうん?」 「――――……大丈夫? 食べれない?」  もう高瀬は食べ終えてて。  全然減ってないオレを気にしてくれてる。 「まだ色々混乱してる?」 「――――……ううん、もう大丈夫」  記憶は、ちゃんと、つながってる。 「食べれるか?」 「うん。食べる」 「ん」  ふ、と優しく、笑む高瀬の瞳。  ……こんなのって、どうしたって、絶対誰だって、ドキドキすると思う。  ほんと、不思議な位味のしない食事を、頑張って食べる。  食べ終わったら、高瀬と、話さないと。  昨日の、こと。  ちゃんと、シラフで、話さないと。

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