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◇大好き*圭1
やっぱり、オレ、高瀬が好きだ。
ずっと考えてたのは、
ほんとに、付き合ったりできるのか、というよりは。
……付き合って…… すぐ別れるとかなったら、立ち直れるのか。
オレが、心配なのは――――…… もしかしたら、そっちだったかも……。
ただ片思いなら、傷もつかずに、やりすごせるのに。
――――……一度、高いハードル越えて、
高瀬にまっすぐ向かって。
それでダメになったらどうしよ。友達にも戻れないだろうし。
そう思うと、怖くて、踏み出せなかった。
女の子に告白されて付き合う時なんか、そんな事は考えなかったのに。
好きになれたらずっと付き合えばいいし。
好きになれなかったら、別れればいいし。
告白を受ける時なんて、その程度の事しか考えなかった。
――――……高瀬と、付き合うのって……。
男って事はもちろん、
こんなに、好きになったのが、多分、うまれて初めてで。
こんなに、1人の人間に、心の中、振り回される事も、初めてで。
付き合う、に踏み込む勇気が、出ない、だけなのかもしれない。
男同士で、ていうくくりに入る事も。
……やっぱり結構、難関な事で。
その難関な壁を飛び越えて、飛び込んで……。
――――……ダメだったら、オレ、戻れるのかな……。
――――……色々考えてると、
……やっぱり、怖い。
高瀬の事は大好きで、一緒に居たくて。
あの夜、キスもセックスも、意味わかんないくらい、気持ち、よくて。
つながった瞬間で死ねるんだったら……もうそこで全然飛び込めるけど……。
……その先ずっと、一緒に居られるか……。
考えても仕方のない事、考えてる。のは分かってたけど、全然答え、出なかった。
だけど――――……。
無理という結論で、高瀬を拒否したら……友達にはきっと戻れなくて。
今週、ずっと高瀬と居られなくて、寂しかったのより、きっともっと離れる事になって……。きっと仕事だけのつながりに、なって……。
切なくて、死にそうに、なる。
胸の奥が、痛くて、涙腺に響いてくる。
まだ結論が出ない内に、オレは、高瀬のマンションに到着してしまった。
一瞬ためらいながらも、このままで居る訳にはいかないと心を決めて。
チャイムを慣らして、少し待つ。
「はい。……あれ、織田?」
「うん、あの……」
「あがってきて」
すぐ聞こえた高瀬の声。開いた自動ドアを通り抜け、エレベーターに乗り込んだ。高瀬の部屋の前で、再度チャイムを鳴らす。
「織田」
すぐにドアが開いて、迎え入れてくれる。
「高瀬……―――……」
白のセーターにジーンズ。
やっぱりすごくカッコ良くて、こんな時なのに、一瞬見惚れてしまう。
目の前に立っているだけで、もう心臓が飛び出そなくらい、
ドキドキして。
ああ、もうなんか――――……
――――……どうしたって、好き、なんだな。オレ。
なんだか、突然。
――――……心が決まって。
とにかく、全部、ちゃんと話そう。
そう、思った。
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