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◇付き合い記念*10

 土曜はそのまま高瀬の家で、映画を見たり、一緒にカレーを作ったりして、のんびり過ごした。  夜は、軽く飲んで、ベットで一緒に眠った。  今夜もするかな?と思ってたら、そんな無理させられないだろ、と言われて。  優しいなーと、噛みしめながら、眠った。  日曜になって、朝ごはん食べたら帰るね、と言いながら結局昼ご飯も食べて。で、そのまま、のんびり過ごしてたら夜ご飯も一緒に食べる事になって。  つまるところ、土日ともに、ずーーーーっと、高瀬と、のんびりいちゃいちゃして過ごしてしまったという訳で。  もともと優しかったけど、いっぱい撫でられるし。キスされるし。  映画見てる時は、背中を高瀬に寄っかからせて、包まれてたり。  なんかダメ人間になりそうな位。  優しくされて、もう、土日、幸せ過ぎて。  結局、日曜も泊まって、一緒に会社に行くことになった。  日曜はもう完全に元気になってたし、早くにベッドに誘われたから、するかな?とドキドキしながら一緒にベッドに入ったら。  ゆっくりキスされて。  早めに寝かせてあげるから、いい?と聞かれて。  うん、と即答。  キスされながら、時間を掛けてゆっくりと愛撫されて、慣らされて。  何度かイかされて、意識が朦朧とした中。高瀬を、受け入れた。 「――――……う…… ンっ……」  深く貫かれて、それだけで、もう、快感に支配される。 「……っあ……」 「……織田……」  名前を呼ばれて、涙で潤みまくった目を開いて 高瀬を見上げると。 「大丈夫……?」 「……っ……」  オレが息を潜めながら、何とか頷くと。  高瀬は、瞳を緩めて、ふわ、と嬉しそうに笑った。  ああ、もう――――…… ほんとに、イイ男だなー……。  とくん、と、心臓が音を立てる。 「……たか せ ――――……好き……」  言った瞬間。  は、と笑った高瀬に、ちゅ、と軽くキスされて。 「――――……オレもすっげえ、お前が好き」  そんな風に言われた。  何かもう――――……。  幸せ過ぎて。  また深く重なったキスに応えながら。  ぎゅ、と高瀬に抱き付いてしまった。 ◇ ◇ ◇ ◇  そのまま眠って――――……   翌朝、すっかり着替え終わってる高瀬に起こされた。 「……織田、起きれる?」 「……ん。……うん……」 「朝飯出来るよ。……シャワー浴びてこれる?」 「……ごめん、起こしてくれて良かったのに……」  何とか、そう答えると。  高瀬は、ふ、と笑った。 「いいよ……オレが悪いし」 「……?……何で高瀬、悪いの?」  聞くと、高瀬は、ぷっと笑って。  ベッドの端に腰かけると、オレの頬に触れた。 「……オレが無理させたからに、決まってるだろ?」 「――――……っっ」  朝から、そんな流し目してくるの、マジで、やめて。  ぱ、と視線を逸らすと。 おかしそうに高瀬が笑った。 「とりあえず、これ着て起きて、シャワー浴びといで。寝ぐせだし」  クスクス笑って、高瀬がオレの寝ぐせをピン、と弾いた。 「可愛いからそれでもいーけど…… 会社であんま可愛いの困るし」 「……」  意味不明な事を言いながら、高瀬はオレの頭を撫でて、立ち上がった。 「とりあえず、飯食おうぜ。10分位で出てこれる?」 「……うん」  返事をすると、高瀬が部屋から出ていった。  とりあえず部屋着を身につけて部屋を出ると、コーヒーの良い匂い。高瀬はキッチンで朝食の準備をしてくれていた。 「タオルとか下着もおいてあるから、いってきな」 「うん、ありがと……」  バスルームに入って、上を脱ごうとして腕を上げた瞬間。  体に違和感。  なんか――――……。  体、痛い……。  そんな事思った瞬間。  昨日の記憶がまざまざと蘇る。  普段しない体勢で色々されてたから……  変な筋肉痛なのかも……。  ………あ、むり。 「……っ……」  振り切るように、熱いシャワーで頭から流す。  ああ――――……なんか……高瀬とするのって……。  高瀬の事好き過ぎるから……。  ――――……幸せだけど、つらい……。  オレ最後の方、声とか我慢、出来てないよな、絶対……はー。  ……だめだ。やっぱり、恥ずかしすぎる。  恥ずかしさに死にそうになりながら、シャワーを浴び終わり、とりあえず部屋着をきて、リビングに戻る。 「目、さめた?」 「うん」 「そか。とりあえず、食べよ。座って」  言われるがまま座ると、高瀬はオレの向かい側に座った。 「――――……」  高瀬はもうワイシャツとズボンで、もう後は上着を着れば出られる感じなので、1人でこんな格好でいいのかなと思った瞬間。 「なんか寝起きで、シャワー浴びてきたまんまなの、可愛い」  クスクス笑われて。バターを塗ったパンを、はい、と差し出してくれる。 「また可愛いって言う……」 「だから、オレが可愛いって思ってるのを分かっててって、言ったろ?」 「……結構恥ずかしいんだけど、可愛いって」 「んな事言われてもなー。可愛い以外で何て言えばいいか……。考えとく。別の言い方があるか」  パンを食べながら、高瀬がそんな事を言ってる。  ……もー、ほんと、何言ってんだろ。 「あ、ワイシャツ、今日はオレの着る? クリーニング済みのがあるから。ちょっと大きいかもだけど……」 「あ、うん」 「ネクタイも、オレのでいい?」 「うん。ありがと」  なんか……  高瀬って。優しすぎて。   こんなに優しくしてもらって、甘えてていいんだろうか。  なんて思ってしまうのだけれど。  楽しそうに、こちらを見てくれるその瞳が、めちゃくちゃ優しいので。  ――――……いいのかな、なんて、思ってしまった。    片付けておくから、髪乾かしてスーツ着てきてと言われた。  ドライヤーで髪を乾かしてから、スーツがかかってる鏡の前に立った。  袖を通した高瀬のシャツは、確かに少し大きくて。  高瀬、大きいなあ、なんて思って。  ――――……ドキドキ、してしまって。  それに、はっと気づいて。 「……はーー……」  ……彼氏の服借りてときめいてる女の子じゃないんだからさぁ……。  ほんと、マジで、頼むよ……オレ……。  大丈夫かな、オレの思考。  自分がドキドキしてる事に、そうツッコミながら、がっくりと肩を落としていると。  コンコン、とドアがノックされた。 「織田、まだ?」 「あ、も、行くよ。待ってて」 「んー」  笑みを含んだ声がして、それが離れていって。  オレは、落ち着け落ち着けと、深呼吸をしてみた。

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