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◇大好きすぎ*圭2

「――――……織田、起きれる?」 「うん。 ……いや、やっぱり無理……」 「――――……飯食えそう?」 「……んー……ううん……無理……」 「シャワー浴びる……?」 「……無理……」  結局。あの後ソファからベッドに移動させられて。  しかも、ひょい、と肩に乗せられちゃうという、めちゃくちゃ恥ずかしい運ばれ方で。  その後も、訳がわからない位、抱かれて。  意識飛ぶみたいに、眠ったんだけど。  高瀬のキスで、目が覚めた。  というのも。  冷たい水を口移しで飲ませてくれるという、もう、恋人同士でしかしないような、恥ずかしい事を、平気でやってくれちゃうから。  冷たくて、喉が気持ちよくて、目が覚めた。  目が覚めたと同時に、かっこよすぎる顔がドアップで。 「……声だしっぱなしだったから、喉乾いてると思って。ごめんな、起こすつもりなかったんだけど……」  なんて、言われたら。  声出しっぱなしだった、なんて所に、ぐらぐら眩暈がする。  散々乱された記憶もすぐによみがえって、恥ずかしさも極致。  そこで、ごろごろ転がって、枕に突っ伏した。     もう。  ……大好きすぎて。  ……気持ちよすぎるんだけど、恥ずかしくて。  ていうか、恥ずかしさの方が、絶対強い。  ………ああ、恥ずかしかった。  ――――……これ、いつか、慣れるのかな。  ていうかオレ。  ……ほんとに今まで、どーやって女の子としてきたんだっけ……。  高瀬に何もできないし。  ……される立場に居る事は間違いないんだけど、別にオレ、男なんだし、自分でも動いてもいいと思うんだけど、なんかもう、高瀬に何かするなんて、絶対無理。  キスを返すだけで精一杯。  なんでオレ、完全に何もかも、され放題というか……。  オレ今まで、ほんとに、どーやってきたんだろう……。  高瀬はきっと、オレにするみたいに、女の子を抱いてきたんだろうなと、分かるけど。……高瀬は、めちゃくちゃカッコいいままなんだけど。  オレの中に入ってきて、オレを好きなようにする、高瀬は、なんかもう、いつも優しいのに、その時は強引で、それがカッコよくて。     でも……やっぱり、優しいんだけど、でも、もう、なんか――――……。  ぷしゅーー ……  枕に突っ伏した口から、変な息が漏れていく。  ああ、もう無理。   「……織田、変な息してないで、こっち見ろよ?」  クスクス笑ってる。  ……高瀬は、普段優しくて。そういう事してる時も、優しくもあるんだけど、強引でもあって……。  ほんとに嫌がったらやめてくれるのかもしれないけど、多少嫌がる位じゃ、聞いてくれない。恥ずかしくて死にそうになってても、気持ちよすぎて泣いても、あやされるだけだったりして。  死にそうに気持ちよくさせられて、追い立てられるようにいかされて、それが延々、続く。  うう。思い出せば出すほど、恥ずかしいよー。 「……織田、顔見せろって。 ……怒ってる?」 「――――……」  枕に突っ伏したまま、ぶるぶる首を横に振る。  高瀬が笑う気配。 「なら、こっち向いて?」 「……」  ちら、と顔を動かして、少しだけ高瀬を見て。  また枕に戻る。  ……無理だ、これ。  高瀬、好き過ぎて、無理。  

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