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◇真夜中*圭

「――――……?」  ――――……あったかい……。  ぱち、と目を開けると。  ――――……目の前に、高瀬の寝顔。  すっぽり抱きしめられたまま寝てたんだと、気づく。  ――――……動くと、高瀬って、すぐ起きちゃうからな……。  動かないで、そのまま、じっと、見つめる。    とりあえず、浴衣はちゃんと着てるみたい。着せてくれたのかな……。  どうやって眠ったんだっけ。  ……なんかもう気が遠くなって、寝たような。  ――――……最後の方、真っ白すぎて、よく覚えてない。  何されても、全部気持ちよくて。  何だかなー……ほんとになー。  ほんといつも思ってしまうけど。  オレ男なのにな。されっぱなして、どうなんだろう……。  ……今度、頑張ってみよう。  ――――……でもなー。高瀬になんか、できる?オレ。    ………にしても。  ………ほんとに、整った顔、してるなあ……。  なんでこんなに、カッコイイんだろ。  ――――……初めて会った時、かっこよくて驚いたっけ。  ……なんか、なつかしー……。  ずーっと見てても飽きない。じいっと、見つめてしまう。  無表情で居たって、かっこよすぎなのに。  ……高瀬が、オレを見てくれる瞳って、優しすぎて。   ほんと恥ずかしくなる位……。  ――――…… 寝ててもカッコいいけど、  目を伏せてると、威力はすこし落ちるかも。 安心して見てられる。  そんな事考えてると、ふ、と笑ってしまう。  オレを見てくれる瞳、大好きだけど。  いまだに緊張するからなぁ……。  ――――……高瀬が大好き。  ずっと、今のまま居れたらいいなー……。  じーー……と、しばらく見つめていると。  だんだん眠たくなってきて、あくびが出てきた。  も一度眠ろうと思って、すり、と少しだけすり寄って、目を閉じた瞬間。 「――――……おだ……?」  高瀬の声がして。肩を抱く手に少し力が入る。  ほんとに、少し動いただけで起きちゃうなー、高瀬……。 「起こしちゃったね……ごめん……」 「構わない……てか、さっきずっと、織田起きないかなーて見てたから」  ぐい、と抱き直すように、引き寄せられた。 「……織田がこっち見てくれて、嬉しいし」  少し寝ぼけ気味の声で言って。  優しく笑った高瀬に、見つめられる。 「――――……」  目覚めてすぐなのに、ほんと強烈……。 「――――……」  何も、言えずにいると。  ちゅ、と唇にキスされた。 「――――……高瀬」  離れた唇に、自分から、ちゅ、とキスを返す。 「……高瀬、大好き」  腕を回して、ぎゅー、と抱き付く。  ふ、と笑った高瀬に、むぎゅ、ときつく抱きしめられる。 「まだ眠そうだよな?」 「……うん」 「――――……おやすみ、織田……」  さらさら髪を撫でられて。頬にキスされた。  気持ちよくて、目を閉じて。  そのまま、また、眠りについた。  めちゃくちゃ幸せって、思いながら。

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