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◇真夜中*拓哉

 ふ、と、目が覚めた。  何かが触れている感触。  ――――……抱き締めた時のまま、腕の中にいる、織田。  ……あったかいな、織田。  めちゃくちゃにヨがらせて。  最後は、眠ったのか、気を失ったのか分からないような感じで。  落ちてくれて良かった。  ――――……そうじゃなかったら、まだ続けてたかも。  ――――……なんだろうな。  エロイ事、覚えたての高校生みたいだよな、オレ。  そこらへん、そろそろツッコミ入りそうだけど。まあ、織田はそんなこと、言わないか……。  というか、その頃ですら、こんなにまでは、なってなかったのに。  求められたらしてたし、雰囲気でもしてたし。  自分からこんなに、求めた事が無かったから。むしろ淡泊なんじゃないかと思ってたのに。  自分でも、ちょっと意味が分からない位。  ……可愛いなと思うと、触れたくてしょうがなくなる。  ……しつこすぎて、嫌われないようにしないとなー……。  なんて、いまだかつて欠片も心配してこなかった事を思いながら。  腕の中でスヤスヤ寝てる織田を、じっと見つめる。  初めて会った時。男なのに、なんでかすごく、可愛いと思って。  ――――……日々、ますます可愛いと思っていって。  側に居たくて、仲良くなりたくて。  オレを一番、好きでいてほしいと思って。  仕事中も、仕事以外でも、めちゃくちゃ構い倒して、優しくして、家にも連れ帰ったっけ……。  いつも、笑ってるし。  でもって、すぐ赤くなるし。  よく涙目にもなるし。  ――――……色んな顔、ほんと……可愛いって、思って。  付き合って。  キスしたり、セックスしたりするようになって。  ――――……可愛い以外の顔も、見るようになって。  めちゃくちゃ。 愛おしいし。    ――――……。  ちゅ、と髪にキスする。  前髪を掻き上げて、額を出してみる。  幼い感じになるのが可愛くて、そのままじっと見つめてると。  ――――……起きねえかな……。なんて思ってしまう。  スヤスヤ寝てるのも、可愛いけど。  ――――……やっぱり、こっちを見てくれる顔が一番可愛い。  でも、絶対起きなそうな顔で、触れてもキスしても、ぴくりとも動かないで、寝てる。  自然と、ふ、と笑ってしまう。  ――――……なんでこんな、好きになったかなぁ……。  まあでも。  好きなとこなら、いくらでも言えそう。  不思議なのは、オレみたいな、基本冷めてると自覚ある奴が、  こんなに織田の事を、めちゃくちゃ好きで、可愛いと思えてるってこと。    ほんと不思議だけど。  ――――……織田見てると、幸せでしょうがないし。  ……ほんと可愛い。  じっと織田を見つめながら。いつの間にか、また、眠りについていた。

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