頬にちゅ、とキスされて。 　浴衣の合わせ目から入ってきた手が、するりと胸を撫でた。 「……っ」 「浴衣っていいよな。織田着てると、エロい……」 「……っ……」 　そんな言葉に焦ってる内に、胸に下りた高瀬に、乳首をなめられる。舌で刺激されて、びくと体が震える。 　あっという間に反応したものに触れられて、刺激されて。 　……あーもう……。 　ほんとに、やられっぱなし感が……。 「織田かわいーな……」 　ちゅ、とまた頬にキスされて。耳元で囁かれる。 「……ゆっくり、していい？」 「………っ…」 　かあっと顔に血が集まる。 　もーもーもーもー……！！ 「――――……っ」 　ぐい、と高瀬の首に手をかけて。唇を合わせて舌を絡める。 「――――……」 　――――……オレから、普段こんなキスはしない。ていうか、出来ないんだけど。ちょっと悔しくて。まともに仕掛けたキスに。 　動きを止めて、キスされるままにしてくれてた高瀬は。 　オレがキスを離して、高瀬を見上げた瞬間、すごく嬉しそうに笑った。 　どき、と胸が弾む。 「……そんなキス、するんだな」 「……いっつもされっぱなし、なんか悔し――――……」 　高瀬の親指が、つ、と唇をなぞった。 「――――……？」 「……かわいーなー　織田」 「――――……ん、ぅ…っ」 　すぐに唇が触れてきて、いきなり深く挿し入れられた舌に、口の中、めちゃくちゃに舐められる。 「んんっ……ふっ……！」 　……激しすぎ――――……。 「………ン、ン……っ……」 　一気に息が上がって。 「……ゆっくり時間かけてしようと思ったのにな。今度にしよ……」 　手を伸ばした高瀬の手には、ローションがあって。 　また性急に繋がるのかなと、ものすごくドキドキしながら。 　でも、早く、繋がりたい気もしてしまって。 「――――……たかせ…」 　ちゅ、と高瀬の頬にキスすると。何だか複雑な顔をされて。 　はー、と肩に顔を埋められてしまった。 「高瀬？」 「あのさあ、織田――――……ただでさえ、オレ、最近やばいんだから」 「……」 「……キスして煽ったり、可愛い事ばっかりしてると、織田が大変だからな？」 　言いながら、またキスしてくる高瀬に、ぎゅ、と抱き付く。 　――――…そこからすぐ。 　その「大変」を思い知ってしまった。 　 　◇　◇　◇　◇ 　明るい中で、散々乱されて。 　落ち着いて考えてみると、朝から、恥ずかしくて、死にそう。 「織田？ 大丈夫？」 　突っ伏してたのに、ぐい、と抱き寄せられて。 　顔をのぞき込まれる。 「――――……っ」 　やめてー。朝からもうマジで、心臓バクバクで、倒れるからー。 「なあ。温泉、行く？」 「……いきたい。……けど、だるい……」 「はは。ごめんな」 　ちゅちゅ、と頬や髪にキス。 「――――……高瀬、ちゅーしすぎ……恥ずい……」 「……悪い。つい」 　クスクス笑う高瀬。 「今までしたくてもずっと、我慢してたからさ」 　クスクス笑う高瀬によしよし撫でられてしまう。 　それはオレも一緒だけど。 「ね……キスマーク、増えてない？」 「ん、我慢した」 　我慢て……。 　脱力しそうになりながら、その言葉を受け止めて。敢えてツッコミは入れず。 「……じゃお風呂行く？」 「ん」 「もう風呂上り、洋服着ていい？」 「――――……いいよ。そのままご飯食べて、チェックアウトだし」 「うん」 「……浴衣買って帰ろうかなー……。織田、パジャマ代わりに浴衣着ない？」 「――――……やだ」 　べー、と舌を出すと、高瀬は「いいじゃんか」とか言って、笑ってる。 　浴衣姿、誰が着てもエロイなーって思うのは、少しは分かる気もするんだけど。 　自分が、家でそのために着る、なんてできる訳ない。 　無理無理。 「……まあいーけど。何着てても可愛いし」 「――――……」 　もう、ほんと、脱力。 　高瀬がオレを、なぜか可愛がってくれてるのは、本当に嫌と言うほど分かってきた。 　――――……恥ずかしすぎて、心がついていけてない。 　……可愛いなんて言われるの、全く慣れてないし。 　こんなにキスされたりするのも、当然だけど慣れてない。 　しかもいまだに、見つめられるだけでドキドキする位、 　大好きな相手に、されるって。 　ほんと、いつか慣れるかなあ。 　 　立ち上がって、乱された浴衣を、ちゃんと着直しながら。 　ふ、と息をついた。