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◇おかえり*圭

すみません、昨日一昨日、予約投稿してたんですけど、間違えてて、「金曜飲み会」の7と8が順番違って投稿されてたような……話繋がってなかったとおもいます。 すみません(o_ _)o))2021/12/10 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「……あー良かった、まだこの店に居て。何で電話出ないの、織田」  高瀬の言葉に、え、と焦る。 「あ、ごめん。全然気づかなかった」 「はあ……飲みすぎんなって、言っただろ」  セリフはそんなんだったけど、声が、優しい笑みを含んでて。  そのままぎゅ、と抱きしめてくれる腕も、とっても優しい。 「……ごめんね……」  言いながらも、そのまま、どさくさ紛れでくっついたままでいると。 「――――……つか、オマエ、埼玉なんじゃなかったの?」  背後から、須長の声がする。 「……さっきの電話の後すぐ帰ってきた。埼玉って言っても東京寄りだから近いし。織田、電話出ねーし。……なにより、お前が居るし」  高瀬が、最後の一言は特に力を込めて、言ってる。 「……あのさー、オレ、男には興味ねーよ?」  須長が、そう答える。  ………………んん? どんな会話? 「……お前はわかんねぇ」  ちょっと冷ややかな高瀬の声。  普段オレには使わない声色。  …………ちょっとカッコいい。   ……いやちがう。  ときめいてる場合じゃない。  この会話は一体。 「……マジで、オレは男、ないって」 「……つか、お前、昔――――……はー。もういいや。 ……織田、大丈夫か? 立てる?」 「……うん。立てる」  ずっとくっついてたかったけど、須長も居るし、仕方ない、  高瀬の腕の中から、ちゃんと起き上がった。 「……てことは、やっぱ、そうな訳か」  須長が、意味深な言い方で、高瀬にそう言った。  高瀬は否定せず、ちら、と須長を見やる。須長は、ふーん、と言いながら、少し首を傾げた。 「――――……マジで、何で?」 「……何でって。大事だから。――――……絶対ぇ触んなよ」  高瀬がそう言うと、須長はびっくりしたような、面白そうな顔をして、ははっ、と笑った。   「初めて聞いたな、そんなの」 「――――……初めて言ってるし」  2人の言葉に、オレは首を傾げる。 「ていうか、織田、全然意味分かってなさそう」  くす、と笑って、須長が、オレの頬を、ぶにー、と横に引っ張った。 「ぽけっとした顔して」  すると、高瀬がオレを後ろに隠す。 「だから触んなって言ってんだけど …… 分かんねえの?」 「……た、たかせ……???」  またしても、あんまり聞いたことのない、低い声。    思わず後ろから、高瀬の顔を覗くと。  高瀬は、ちら、とオレを見て、はー、と息をついた。 「……織田、こいつ……モデルの頃の知り合いなんだけど――――…… なんかしらねえけど、オレの関係した女とか、関係しそうな女とかに手ぇ出すっつーか…… とにかく、ほんと、超変な奴で」 「失敬だな、お前。――――……ただオレは、対抗意識燃やしてただけ。変な方向に行動が向かったのは、もうよく覚えてねえけど。……そしたらお前、あんなに人気あったくせに、超あっさりモデルやめてくし」 「……人に見られるんの好きじゃなかったし――――……お前みたいな色々面倒な奴が何人も居て、めんどくせえのもあったから、やめたんだよ」  高瀬の呆れたような声。  大体の事情は、何となく分かった。  2人になるな、近づくなっていう意味も、今の会話で、何となく。  でもなー、手を出すとか、その話って、女の子との事だろ。  ……オレ男だし。  その心配は、いらないんじゃないだろうか。  思いながら、高瀬を見上げる。  目が合うと、くす、と笑って、高瀬がオレの頭をポンポンと撫でた。 「ただいま、織田」 「――――……」  そんな一言に一気にめちゃくちゃ嬉しくなった。  そうだ、びっくりしすぎて、考えられてなかったけど、  高瀬、帰ってきたんだった……! 「おかえり高瀬!」  めいっぱい笑顔で、そう言った。

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