146 / 234

◇幸せすぎ*圭 4※

「――――……辛そうだから一回イかせるよ……」 「……っ……」  後ろから回ってきた熱い手に包まれて。  と思ったら、すぐに翻弄されて。あっという間に、イッてしまう。 「……っ……っ……」 「――――……織田……」  高瀬と向かいあうように立たされて、何度も優しくキスされる。上がった息が少し、落ち着いてきた時。 「……高瀬……オレ……」  高瀬の腕に触れて、すこしだけ、唇を離した。 「……オレ、高瀬じゃなかったら、何かされそうになったら暴れるし」  まっすぐ見上げて、高瀬の顔を見つめる。 「高瀬だから……今は、しないだけだから……」  まっすぐ高瀬を見つめて、そう言った。 「――――……可愛い事言ってもダメ……」  高瀬はそう言って。む、と口を閉ざしたけれど。  すぐに、むぎゅ、と抱き締めてきた。 「……って……だめじゃないな……」  高瀬は、胸の中にオレを取り込んで。くっと笑いだした。 「……もうちょっといじめようと思ってたのになあ……」 「――――……」 「……ずるいなー、織田……」  クスクス笑って、高瀬が、オレの頬に手をかける。  そのまま、ぶに、と頬を引っ張られる。 「……でも、気が気じゃなかったのは、ほんとだからな。あと、飲みすぎ」 「……ごめん……」  謝ると、高瀬はふ、と笑った。 「ん。――――……風呂はいろ」  高瀬に手を引かれて、浴槽に入る。 「……ここで入るの初めてかも」 「いつもシャワーだもんな。おいで、織田」 「……しかも一緒にとか……すげー照れるんだけど……」  高瀬が座った前に、座らされる。後ろから抱き締められてる感じになって、かあっと赤くなる。 「……ここまで赤いけど」  くすくす笑ってる高瀬に、ちゅ、と首筋にキスされる。  しばらくちゅっちゅとキスされて遊ばれて。  むぎゅ、と後ろから抱き締められて、少し落ち着いてから、ちら、と後ろの高瀬を振り返った。 「……なー、高瀬?」 「ん?」 「……ちょっと……ていうか、すごく、不思議なんだけどさ」 「うん」  高瀬が後ろからオレと視線を合わせてくる。 「……高瀬ってさ、オレがさ」 「うん」 「男と、ほんとにそんな事になると、思ってるの???」 「――――……」 「……オレが、高瀬以外の、男と、だよ??」 「――――……」 「思ってるの?」  なんでずっと無言なんだ。  振り返ったまま、高瀬を見つめると。高瀬はふ、と苦笑い。 「――――……酔っぱらってて、あれあれ?てなってる内に、そーなっちゃった、て事はあるかもって」 「っうそだろ、そんな訳ないじゃんっ」  て事は、さっきのも本気で言ってたのかとかなりびっくりしているのに、高瀬はさらに続ける。 「相手が、モロその気で、織田が超よっぱらったとこを連れ込まれて……て事なら、あるかもって思ってるかなぁ……」  そんな風に言われてしまい。  くるっと振り返って、真正面から、高瀬を見つめる。 「無いから。絶対。 ……ていうか。オレ相手にモロその気の奴、なんてそもそも居ないから」 「――――……だからさぁ、織田」  頬を両手で挟まれて、ぐい、と間近まで引かれる。 「オレ、お前にその気になるだろ?」 「――――……」 「……もともとはオレ、男に興味なかったし。オレがその気になったんだから、他の奴だって、そうなるかもしれないだろ」 「………んー……」  ……えー。そうなのかな……。  オレが高瀬の事好きすぎて、好きって見続けて、慕いすぎて、それで高瀬はオレを意識して、気に入ってくれたんじゃないのかなと、オレは思うんだけど……。   だとしたらだよ?  ……オレの事を普通に好きになる男なんて、居ないと思うんだけどな。  と思う、とかじゃなくて、居ないな。うんうん。

ともだちにシェアしよう!