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◇今から*圭
会ってからずっと楽しく遊んでた真宙が何だか段々ぐずりだして。
俊兄の腕に収まって、数分。寝てしまった。
「うわ、可愛いーすぐ寝ちゃった」
「ほんと。遊び疲れたんだな」
俊兄の肩に顔を突っ伏して眠っている真宙を、オレと高瀬で後ろから眺める。
「限界まで遊ぶんだね」
クスクス笑いながらそう言うと、高瀬がぷ、と笑い出した。
「え、何?」
「そっくり、織田」
「え? 真宙の寝顔?」
「ん」
「え、オレこんなに、ほっぺた無いはずだけど」
クスクス笑いながら顔を見合わせていると。
「そろそろ、オレらは帰ろうかな。真宙は車で寝かせて帰ればちょうどいし」
俊兄がそう言った途端。「ええー! やだー!」と、来海が即座に反応した。
「でも、真宙がこれじゃもう遊べないし。来海もそろそろ疲れたんじゃないか? それに、圭ちゃん達も用事があるんだよ」
俊兄が来海にそう言うと、「そうなの?」と、来海がオレ達を見上げて聞いてくる。
「……うん。そうだね」
しゃがんで、来海に目を合わせる。
「また、遊ぼう、来海」
「――――……いつ?」
「いつでもいいよ。土曜日曜は仕事お休みだから」
「……拓ちゃんも遊べる?」
来海が高瀬を見上げると、高瀬も、来海の前にしゃがんでくれて。
「いいよ」
そう言って、高瀬が笑うと、来海はしばらく、幼いながらも色々考えたみたいで。
それから、うん、と頷いた。
「またすぐ遊んでくれるって約束!」
ちっちゃい小指が目の前に出てくる。
オレと、高瀬と指切りをして、それで納得したみたい。
あぁ、可愛いなー。ほんと。
オレがめちゃくちゃ癒されながら。
「俊兄、車まで送るよ」
オレが俊兄に言ってる間に、高瀬が来海に。
「来海ちゃん、手、つなご。 あ、抱っこする?」
そう聞いたら。当然のように、抱っこになってるし。
ひょいと抱かれて、来海は高瀬を見つめてる。
「拓ちゃん、絶対また遊ぼうね」
「ん、良いよ」
クスクス、優しく笑ってる高瀬。
そんな高瀬を見てると、ほんと好きだなぁなんて思ってしまう。
駐車場までの道のり、高瀬に抱っこされて、気持ちよくなってしまったのか。
ふと気づいたら。来海が目を閉じて寝息を立てていた。
「あ、来海、寝てるよ、高瀬―」
「え。本当に? どうりでしゃべらないと思った」
「うん。すごい可愛いー」
2人で、クスクス笑ってしまう。
「オレ、子供寝かせたのは初めてかも」
高瀬が笑いながら言うので、なかなか無いよねえ、なんて話しながら、俊兄の後を歩いて、駐車場の車の所にたどり着いた。
「高瀬君、ごめんな、その後ろのチャイルドシートに来海を乗せてくれる?」
高瀬が頷いて、車に乗り込んで、来海を乗せた。
「ベルトは? こうかな……?」
「うん、多分……俊兄、これでいい?」
ぱち、と固定させて、オレと高瀬は車を降りた。同じように真宙を乗せてた俊兄も一度車を降りて。
「ありがとうな。今度夕飯奢るよ」
「あは、いいよ、昼奢ってもらったし」
「いやいや。どっかで飲もうぜ」
「あー、うん。いいよ」
「高瀬君も良かったら一緒に奢りたいな」
「はい。ぜひ」
ふ、と笑んで、高瀬が頷いてる。
「ほんと助かった、ありがとうな」
俊兄はそう言って、車に乗り込むと、「じゃあな」と笑って、車を発進させていった。
見送って、何となく、ふ、と息を吐く。
「……兄弟の子ってさ」
「うん??」
「似るんだな? なんか織田に似てて可愛かった」
「似てるかな??」
「真宙くんは、そっくり。目の感じとか。来海ちゃんは、素直なとこ、そっくり」
「――――……そう??」
幼い子達にそんなに似てると言われると、ちょっと恥ずかしいけど。
「……なんか、高瀬、ありがとうね」
「ん?」
「2人でデートもしたかったけど。なんか、すごく楽しかった、オレ」
そう言うと、高瀬は、ふ、と笑って。
オレの頭をポンポン、と撫でた。
「オレも楽しかった。それにまだ16時前だし。 今から、2人でデートだろ?」
「――――……うん!」
優しい言葉と笑顔に、嬉しくなって、頷く。
すると、何かますます、高瀬の瞳が緩む気がする。
「まず何したい?」
「んー……とりあえず、お茶飲む?」
「そだな。コーヒー? 紅茶?」
「たまには、紅茶にする?」
「じゃ行こ」
背中に置かれた手に、ぽんぽん、と叩かれる。
「お茶しながら、お揃い、何にするか考えよ」
笑み交じりに言われて、オレは、うん、とまた笑顔で頷いた。
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