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◇どうしようも*圭

 一通り来海と真宙と遊んで。でも2人が高瀬にめいっぱい張り付いてるので、少し離れて俊兄の横にまた並んだ。 「――――……高瀬の事、大好きっぽいねえ、2人……」 「イケメン好きだって事が分かった。真宙もだな、あれ」 「優しいからじゃない? 高瀬が」 「まあ、そうだろうけど」  2人でクスクス笑いながら、3人の後ろ姿を見守っていると。    「なあ、圭?」 「んー?」 「どんな心境の変化なんだ?」 「ん?……ああ。さっきの話? ごめん、気になっちゃった?」  困ってそう言うと、俊兄は、「いや? 意味があるなら 聞いておこうかと思っただけ」と笑う。 「まあ、さ。圭が幸せになるのを、家族みんな願ってるから」 「……うん、ありがと。オレも、皆の幸せ願ってるけどね」  そう返すと、まあそうだな、と笑う俊兄。 「なあ。オレ思ってたことがあるんだけどさ」 「うん? 何を?」 「圭が真ん中に居たからさ。オレら5人って、すごい繋がってる気が済んだよな」 「え。そう?」 「上2人とも、下2人とも仲良くてさ、圭。 何となく、圭が真ん中に居て良かったって思ってるよ」  クスクス笑う。 「そうかなあ? むしろ俊兄が上だから、皆ついていってたような」 「でも慎吾も加奈もオレは離れすぎだしな?」 「可愛がってたじゃん」 「仲が良い兄弟っつーのとは、ちょっと違うかな? オレちょっと、もはや親父みたいだったし」 「……ああ。確かに」 「確かに言うな」  クスクス笑う俊兄。 「美久は近すぎて、あれこれ口うるさいしな。なんかそれを圭がほのぼのまとめてくれてた」 「そう?」 「そう。皆に幸せになってほしいけど。お前が幸せなのが、早く見たいな」 「オレが幸せになるのって?」 「そうだなあ……結婚式、とか思ってたけど……」 「ああ。それだと次に見れるのは、美久姉のだね」  結婚式か。  ――――……まあね。確かにね。前のオレなら、分かった、結婚式ねって言ってると思うんだけど。 「……俊兄?」 「ん?」 「……オレさ、ほんとに結婚式とか、しないかも」 「ん」  俊兄はオレをじっと見てくる。 「――――……好きな人、居るんだけど……その人とだと、無理かなぁて」 「……やっぱり不倫とか……?」 「違うってば。フリーのちゃんとした人だよ、ちゃんと。……すっごく、大好きで、大事なんだけど……もしかしたら、皆には分かってもらえないかもってだけ」 「何だそれ。――――……お前の好きな相手、分からないとか無いだろ」 「――――……うーん。そう、なんだけど……」 「変なのに騙されてるんじゃなれば、反対はしないけどな」  俊兄がそんな風に言って、笑う。  変なのじゃないから。  ……言っても、平気かなぁ。  すぐそこで、オレの姪っこ、甥っ子と、すごく仲良く遊んでくれてる、すごーくカッコイイ人が、恋人なんだよって。  そう言ったら、俊兄は、何て言うんだろう。  そんな風に思ってたら。  高瀬がこっちを見て、オレと目が合うと、ふ、と笑んだ。  オレもにっこり返して。するとまた、来海に呼ばれて、高瀬は下を向いて何か話してる。    ――――……良いパパになりそ。  うーん。でもオレとじゃ、パパにしてあげられないんだけど。  ……ってほんとオレって、余計な事を、ついつい一瞬、考えるよなー。  ダメダメ。……考えない。  高瀬の事好きだから。  2人で一緒に居られること。それを一番大事にする。  捨てなきゃいけないものとか。  諦めることとか。あるだろうけど。  そうしてでも、居たいって思ってるんだから、もう、それが一番。  ――――……隣に居る、俊兄に、本当の事とか。言えなくても。  もしかしたら、言ったとして、理解してくれなかったとしても。反対されても。  子供3人ってずっといってたのを捨てても。  オレ、高瀬と居たい。  ……って言ったら、俊兄、どーするかなあ。 「どした? 何、じーっと見て」 「ううん。別に」  うーん。……まだ言えないや。  ……大体にして、付き合い始めたばっかりだしなぁ。やっぱりもうちょっと付き合ってからの方が、説得力もあるかな。  ……うん。 「オレも遊んでくるね」 「おう。よろしく」 「休んでていーよ」  ん、と俊兄が笑う。 「高瀬、オレもやる」 「ん」  近付くと、くす、と笑ってオレを見つめる高瀬に、自然と笑顔になるから。  やっぱり、こんなに好きなの、ほんとに初めてで。  ――――……もうどうしようもないもんな、と。  ただ普通に、そう思った。    

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