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◇朝*圭

「――――……」  枕に俯せに寝てたオレは。ふと、目が覚めて。もぞ、と動いて高瀬の事をモゾモゾ探して。  ……あれ。  高瀬、居ない。  目を開けて確認しても、高瀬がベッドに居ない。  ちょっと寂しい。  また、ぽふ、と枕に顔を沈めた。  ……待て待て、待って。  高瀬がベッドに居なくて寂しいって。  ガキんちょかー、オレ……。  朝から心の中でとっても狼狽えていたら。かちゃ、とドアノブの音。それから、すごーくそーっと扉が開いて、オレは、咄嗟に寝たフリ。  だって、すごい、そーーっと開いたから、きっと、オレを起こさないようにって、してくれてるんだと思って。  開けた時と同じように、高瀬は、ものすごくそーーっと、ドアを閉めて、近づいてくる。  ドキドキ。  こんなに静かに近づいてきて。  どーするんだろう。  あ、今何時なんだろう。時計、見ておけば良かった。まだ早いのかな。  ギシ、とベッドが軋んで。  高瀬がベッドに入ってきてるのが、分かる。  それから。高瀬の手がオレに触れて。何だかとっても上手にそーーっと、腕枕されて。そのまま、抱き寄せられた。何だかすっぽり、高瀬の中にはまった感。  うーうーうー……。  なんだかなーもう。  朝から。ドキドキ。しまくりなんだけど。   「――――……? ……織田?」  小さな声で、囁かれて。 「……起きてる?」  顔、覗かれて。  そっと瞳を開けた。 「……ごめん、起こした?」 「ううん。大丈夫……ちょっと起きてた」 「いつから?」 「……高瀬が戻ってくるちょっと前」 「あれ。そうなのか?」 「なんかすごく静かに入ってきてくれてたから、起きない方がいいのかなって」 「何で。起きていいよ」  高瀬はクスクス笑いながら、オレをより抱き寄せた。 「おはよ」 「……うん。おはよ。高瀬」 「まだ眠い?」 「ううん。自然と目が覚めたし。……何時位?」 「7時半」 「ちょうどいいかな……起きる?」 「――――……んー。もう少し、このままでいい?」  優しく聞かれて。  うんうんうん、と頷く。  オレもほんとは、もうちょっとこのままくっついていたかった。  勢いづいて頷いたからか、高瀬がクスクス笑ってて。  その笑ってる揺れが、オレの体に移ってくる感じ。  だって、もう、すっごく密着してるもんね、これ。  ――――……高瀬、大好きすぎる……。 「また温泉いこーな……」  不意に、ぽそ、と高瀬が言う。 「ん。いいね。行こ行こ」 「ん。あと――――……何したい? 織田、どこ行きたい?」 「……何? 急に」  ふ、と笑ってしまいながら聞くと。高瀬もまた少し笑って。 「織田としたいこと、いっぱいありすぎて、どれからしようかなーって思ってさ」 「――――……」 「だから織田が言ったものからしようかなって」 「――――……」  むむ。  そんな風に言われると。  いっぱい高瀬としたいこと、めっちゃくちゃ浮かぶ。  ……つかもう。学生の時の長期休みのように毎日休みだったらいいのに。  そしたら、高瀬がやりたい事、全部片っ端からやるのに。  ……まあ、そうもいかないのは分かってるけど。 「……昨日、高瀬とプラネタリウム行けて楽しかった」 「綺麗だったな」 「うん」  昨日のプラネタリウムの事を思い出して。その後の来海と真宙の事とか、俊兄との事とか。色々思い出して。  更に、ほこほこ気分になる。    

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