186 / 236
◇朝*圭
「――――……」
枕に俯せに寝てたオレは。ふと、目が覚めて。もぞ、と動いて高瀬の事をモゾモゾ探して。
……あれ。
高瀬、居ない。
目を開けて確認しても、高瀬がベッドに居ない。
ちょっと寂しい。
また、ぽふ、と枕に顔を沈めた。
……待て待て、待って。
高瀬がベッドに居なくて寂しいって。
ガキんちょかー、オレ……。
朝から心の中でとっても狼狽えていたら。かちゃ、とドアノブの音。それから、すごーくそーっと扉が開いて、オレは、咄嗟に寝たフリ。
だって、すごい、そーーっと開いたから、きっと、オレを起こさないようにって、してくれてるんだと思って。
開けた時と同じように、高瀬は、ものすごくそーーっと、ドアを閉めて、近づいてくる。
ドキドキ。
こんなに静かに近づいてきて。
どーするんだろう。
あ、今何時なんだろう。時計、見ておけば良かった。まだ早いのかな。
ギシ、とベッドが軋んで。
高瀬がベッドに入ってきてるのが、分かる。
それから。高瀬の手がオレに触れて。何だかとっても上手にそーーっと、腕枕されて。そのまま、抱き寄せられた。何だかすっぽり、高瀬の中にはまった感。
うーうーうー……。
なんだかなーもう。
朝から。ドキドキ。しまくりなんだけど。
「――――……? ……織田?」
小さな声で、囁かれて。
「……起きてる?」
顔、覗かれて。
そっと瞳を開けた。
「……ごめん、起こした?」
「ううん。大丈夫……ちょっと起きてた」
「いつから?」
「……高瀬が戻ってくるちょっと前」
「あれ。そうなのか?」
「なんかすごく静かに入ってきてくれてたから、起きない方がいいのかなって」
「何で。起きていいよ」
高瀬はクスクス笑いながら、オレをより抱き寄せた。
「おはよ」
「……うん。おはよ。高瀬」
「まだ眠い?」
「ううん。自然と目が覚めたし。……何時位?」
「7時半」
「ちょうどいいかな……起きる?」
「――――……んー。もう少し、このままでいい?」
優しく聞かれて。
うんうんうん、と頷く。
オレもほんとは、もうちょっとこのままくっついていたかった。
勢いづいて頷いたからか、高瀬がクスクス笑ってて。
その笑ってる揺れが、オレの体に移ってくる感じ。
だって、もう、すっごく密着してるもんね、これ。
――――……高瀬、大好きすぎる……。
「また温泉いこーな……」
不意に、ぽそ、と高瀬が言う。
「ん。いいね。行こ行こ」
「ん。あと――――……何したい? 織田、どこ行きたい?」
「……何? 急に」
ふ、と笑ってしまいながら聞くと。高瀬もまた少し笑って。
「織田としたいこと、いっぱいありすぎて、どれからしようかなーって思ってさ」
「――――……」
「だから織田が言ったものからしようかなって」
「――――……」
むむ。
そんな風に言われると。
いっぱい高瀬としたいこと、めっちゃくちゃ浮かぶ。
……つかもう。学生の時の長期休みのように毎日休みだったらいいのに。
そしたら、高瀬がやりたい事、全部片っ端からやるのに。
……まあ、そうもいかないのは分かってるけど。
「……昨日、高瀬とプラネタリウム行けて楽しかった」
「綺麗だったな」
「うん」
昨日のプラネタリウムの事を思い出して。その後の来海と真宙の事とか、俊兄との事とか。色々思い出して。
更に、ほこほこ気分になる。
ともだちにシェアしよう!