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◇遠い未来*圭
なんかめちゃくちゃ仲良しにくっつきながら、ながーい事食べてて。
ようやく片付け終わったらもう、結構な時間になっていた。
まあまあ良い感じでお酒も飲んだし、結構眠くなってきてて。
ふわふわ欠伸してたら、高瀬に笑われた。
「眠い?」
「……うん。ちょっと」
「じゃあもう今日はベッドにいこっか」
「ん。歯、みがいてくる……」
「オレも行く」
二人で洗面台の前で並んで、オレが自分の歯ブラシを持って水に濡らすと、高瀬が歯磨き粉を乗っけてくれた。
「ありがと」
言いながら、歯ブラシをくわえる。
しゃこしゃこ磨きながら、隣の、カッコ良すぎる人を、じっと見上げる。
オレ達って、このままずっと仲良かったら。
おじいちゃんになっても、こうやって一緒に歯を磨いてるのかな。なんて。
そんな事を思ったら、ちょっと可笑しくなって。
ふ、と笑んだら。
高瀬も、オレを見て、クスッと笑った。
歯ブラシを持ってない左手が伸びてきて、頭に置かれて、よしよしされる。
「――――……」
オレ、一応社会人だし。大人のはずだし。男だし。
ナデナデされる立場じゃないと思うんだけど、と、ちらっとそんな事が浮かぶのだけれど。
全然嫌じゃなくて嬉しいって。
オレ、絶対ヤバいな。と思いながらも。
嬉しいものは嬉しいから、しょうがない。
ていうか。
……一目惚れの相手だからね。
……でもって、知れば知るほど、大好きになってる、相手。
優しく触れられて、嫌なんて、思う訳がないんだよね……。
歯を磨き終えて口を漱いで。タオルで拭いてる間に、高瀬も漱ぐ。
高瀬も口を拭いてから、ふ、と笑んだと思ったら。
引き寄せられて、キスされる。
「――――……なんで 笑ったの? さっき」
「……あ、歯磨きしながら?」
「ん」
見つめられて、高瀬がまたクスッと笑う。
「んー……ちょっと考えただけだよ?」
「ん」
「このままずっと居たら、おじいちゃんになっても、一緒に歯を磨いてるのかな~とか、ちょっと想像したら、笑っちゃっただけ」
そう言うと。
ふーん、と高瀬は微笑んで。
「いーんじゃないか?」
「ん?」
「おじいちゃんになっても、仲良く並んで歯磨きしてるのも」
「――――……」
高瀬、ちょっと面白そうに。冗談めかしてではあるのだけれど。
でも、なんか、すごく優しく。笑ってくれているので。
「うん。そだね」
何か。そんな先の事、全然分からないんだけど。
それくらい長い先まで、一緒に居れたら良いなと思えてる今が。
めちゃくちゃ、幸せな気がする。
「高瀬、一緒に寝よ」
「ん。寝よ」
ふ、と笑んで、頷いてくれる。
そのまま一緒にベッドに入って。
すっぽり高瀬の腕の中。
暖かくて。
あっというまに眠気に襲われる。
「高瀬……」
「ん?」
「……今日、いっぱいありがと……」
「――――……ん。 織田も。ありがと」
ん、と笑って。
ふ、と瞳を伏せた。
「また明日ね……」
言ったら、ちゅ、とキスされて。なんか、きゅ、と手を握られて。繋いでるみたいな感じで、高瀬が寝に入ろうとしてる。
「――――……」
くっついてる体も。繋いでる手も、
なんかあったかくて。
ダメだこれ。幸せ過ぎて。ドキドキしすぎで、死んじゃうかもしれない。
なんて、思いながら。
次第に、眠気の方が勝っていって。
――――……眠りに、落ちた。
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