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◇いちいち可愛い*拓哉

 金曜、須永がいる飲み会から織田を無事回収した。  土曜、プラネタリウムを見に行ったら、織田のお兄さんと、その子達に会って、しばらく一緒に過ごした。で、その後、関係を伝えて、また会う約束をして……。日曜は、織田が住んでるマンションの解約について聞いたり、荷物を取りに行ったりして、おそろいのものを買おうなんて言って、タイピンを買って帰ってきた。  夕飯は家で食べて、それから、いつものように、織田を抱いて。  終わると同時に眠ったのを、そーっと抱き締めて、一緒に寝てる。  ――――……仕事が出張で、泊りだったのもあって、先週から週末までアッという間だった気がする。  ……金曜夜から二人で過ごしていた自分を思うと、不思議でならない。  元カノや、オレを知ってる友達が、織田と居るオレを見たら、きっと、別人だと思うだろうな……。  ……可愛くて、しょうがない。  ――――……まっすぐな瞳も、言葉も、なんだか、全部。  会った時から可愛いなんて感じてたけど。  ……付き合い始めてから、ますます可愛く思えて、本当に自分でもおかしい位。  織田に言ったセリフで、あとからふっと突然気づいたことがあって……さっきから、色々思い返しているのだけれど。 「九十九パーセント好きなら、一パーセント嫌いでも、そんなのどうにでもなるだろ」  とか。普通にオレ、伝えたけど。  気付いたら、相当恥ずかしい気がしてきた。  九十九パー好きって。  嫌いなとこ、一パーセントあったとしてもって。  しかも、オレ、今はその一パーセントすら、嫌いじゃないからな。  おかしいくらい、織田のことが好きだってことで。  そんなセリフをオレは真顔で言ってたとか。  ……あんまり深く考えないで、さらっと聞いてくれてるといいけど。  なんかすごく重い気がして。さすがにちょっと、織田も気になんないかな、とか。  ……ってこんな心配を自分がしてるってだけで、相当驚く。 「……たかせ……んー……」  むにゃむにゃ言いながら、織田が目をこすり始めた。 「どした……?」 「起きてるの……?」 「ん、まだ起きてた」 「……シャワー、浴びに行く……?」  むにゃむにゃ、すげえ可愛いんだけど。 「――――……」  柄にもなさすぎて、ほんとにオレどうした?と自分で思いながらも。   思うまま動くと、自然とキスしていた。 「……ん」  重ねると、織田が目を開けてオレを見つめる。  目を開けたままキスしてたオレと視線が合うと、ふ、と嬉しそうに笑って、その手が首に回ってきた。  激しくない、舌が少し触れるだけのキスをしばらく繰り返して。  ふ、と織田が少し顎を引いた。 「……高瀬……」  ぎゅう、と抱きつかれて、すり、とその髪がオレの頬に触れる。 「……大好き」  ――――……。   何というんだろうか、この、胸の奥が掴まれるみたいな気持ち。 「ああもう……」 「……ん、んっ……?」  さっきよりも深く舌を絡めながら、首筋や耳に触れる。 「……んんっ……ふ……」  ぴくん、と震えると。  可愛いって思う気持ちが余計に膨れ上がる。  が。これ以上してると、収まらない。  最後に、ちゅ、と舌を吸って、ゆっくり離す。 「……可愛すぎ」 「………………っ」  見つめて言った次の瞬間、かぁっと赤くなって、何も言葉が出てこない織田を、ぎゅ、と抱き締めた。 「シャワー、明日にする……何で聞いた?」 「……離れちゃうのかなーと思って」  ……いちいち可愛いんだけど。  このまま、触れたい気持ちを、何とか抑えながら。 「……一緒に寝るから」  織田が寝やすいように、腕の中に引き入れて、ぽん、と頭に触れた。 「おやすみ……」  額にキスすると、うん、と、嬉しそうな笑み交じりの返事。  あぁ、ほんと可愛くて。オレ、ほんとにヤバいなあ……。  なんて思いながら、織田と一緒に眠りについた。

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