18 / 41
新たな朝
朝日家の一員……朝日夕馬になったぼくの1日は楽しい。
だからあの日から半月しか経っていないなんて信じられないんだ。
"今日信じてるものを 明日も信じていられたら"
意識が上がってきて、天使の歌声が聞こえてきたら、もう朝なんだとわかる。
「黄金色に映える君の髪を見た僕の心は業火の炎で焼き尽くされそうなのでございます」
それとむずかしそうな言葉をするすると語るのを聞いて、今日も楽しくなるなと感じるんだ。
「さらりと撫でると君の愛の粒がほろほろと落ちてきて僕に降りかかるのでございます。もったいないと思う僕は君を包むのでございます」
その後、ムチムチの身体に包まれるから、僕の身体はほかほかと温かくなった。
でもほっとくと長くなるから、パチっと目を覚ます。
「おはようございます、愛しい夕馬……今日も見目麗しいでございますね」
二重のつり目が細められ、盛り上がったほほをほんのり赤らめた夜彦の顔が視界いっぱいに映る。
「今日も小説の一節、素敵だったよ?」
「貴方様を見ているだけで溢れ出てくるのでございます」
満足した夜彦は右のほほと左のほほにキスを落として、僕を胸に抱え込む。
はだかだからぷにぷにの胸とお腹に直接に触れて、ほかほかの温かさにまた眠りそうになる。
僕はなんか反抗したくなって手探りでちくびにたどりつき、ピンっとはねた。
「アアッ……」
かすれた高い声を出す夜彦にやっぱオメガなんだなって納得して、面白くなってきた。
ちくびの形を確かめるようにやわらかくつむ。
「やっ、アッ……もぉ」
気持ち良い声を出す夜彦に僕は意地悪になる。
「舐めてほしい?」
「よろしい、ので……すか?」
「ちゃんとどこをどういう風にって言ってくれたね」
僕がニヒッと笑うと、夜彦は目をうるませるものの、唇をキュッと結んでしまった。
「いうようになったなぁ、ゆうちょ……でもまだまだあまちょろいわ 」
「ハアッ、アアアッ!」
長くて太いヘビのようなものが夜彦の背中をするりするりとなでるから、夜彦の表情はコウコツへと変わっていく。
「でもええわぁ、もっとやりぃ」
クククッと意地悪な笑い声が聞こえてきたから僕は顔を上げた。
最初に見えたのは真昼のセイキでイルカのちんちんへとヘンゲさせたものらしく、真昼のまたの間でうねうねとしている。
さっき夜彦の背中を撫でたのはそれなんだ。
次に見えたのは6つに割れた腹筋。
そして、白いキャンバスを持った腕の筋肉はラクダのこぶのように盛り上がっていた。
最後に見えたのは大きい前歯を見せて笑う黒縁メガネを掛けた大人と子どもの間みたいな顔。
真昼もいつもなぜかはだかなんだ。
「てとりあしとり、ぼくぅがおしえたろか? けっこうてくにしゃんやで?」
ニヤッと笑った真昼が顔を近づけてくる。
あと数センチで……ってところでドアが開くのもいつも通り。
「ゆーたん、ごは~ん! ってああっ!」
ドカドカと部屋に入ってきて2人の頭を叩くようちゃん。
「ダメって言ってるでしょ!」
「ぼくぅ、なにもしてへんし……まだぁ」
「やつがれもですよ」
3人がやんややんやとさわぐのもいつも通り。
このひと時で僕の朝が始まるんだ。
ともだちにシェアしよう!