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モノマネ
ぺッ……チャッ!
「アアアッ!」
惜しげもなく、僕は声を上げた。
チュッ……チュッ……
「ア、ンぁ……アン!」
絞り出すように吸いだしたのも同じで、僕は為されるままに乱れる。
『わたくしのこと、お忘れでごさいませんか?』
頭の中の夜彦がそう言うと首を強く噛み、ジュッと吸われた。
「アッ、アハッ……ァ」
ゴキュ、ゴキュ
喉が締まるように苦しくなる吸い方はもう夜彦だ。
オレンジ色の前髪を後ろにして真ん中を膨らませたミディアムの髪型で目元と口元が三日月状になっている夜彦の顔を思い出した。
「アッ……アぁ、ハっ……ぁ」
快楽に溺れていく僕はもう怖くはなかったんだ。
「やららわやや」
首の後ろに流し込まれたエネルギーは僕の意識を浮上させた。
ゆっくりと目を開くと、メガネをつけてサラサラと描いていく真昼とぶつぶつと呟きながらメモをとる夜彦の姿があった。
「ゆーたんの記憶からスキャニングしたから写真もいいよ」
優しく抱きしめて、ふふっと笑うようちゃん。
「かわいすぎる……ヤバい」
ボソッと呟いたようちゃんにドキドキが止まらなかったんだ。
ここでも詰め込むのは良くないということで、晩ごはんまでゲームをするんだ。
今日はモノマネ選手権で、お題は『猫』。
まずは自称猫好きでモノマネの実力は自他共に認めるくらい上手い夜彦。
「ニャオーン!」
夜彦は急に叫んだ。
「さい、あく!」
厳しく吐き捨てるようちゃん。
「どげざしたら、ちゃんすあげるわ」
真昼も鋭く睨んだ後、ニヤリと笑う。
「申し訳ございません! ちゃんといたしますので、どうかご配慮くださいませ」
頭を擦りつけるように正座をした夜彦。
確認だけど、夜彦が長男なんだよね?
「いいかどうかはゆうちょがきめるわ」
黙っていた僕を2人がニヤニヤしながら見つめてくる。
夜彦は少し頭を上げ、潤んだ瞳が上目遣いになっていた。
「ちゃんとやる?」
「もちろんでございます!」
「ふざけたら3日間連続で凌辱するからね」
「あっ、それは……ご褒美になるかと」
「黙ってはいと言えば良い」
「はい、承知いたしました!」
軽く前戯のようなコントのようなやり取りをした後、夜彦は深呼吸をした。
すぐに頬を両手でふにふにと撫で始めた。
「みぁ、ミャー……ミャオーン」
「犬入ってない?」
「ワオーンっていうてるやんな」
ようちゃんと真昼がすかさず突っ込むけど、夜彦はニャ、ニャと言いながら丸めた手で顔を撫でる。
「もう1回、やって?」
僕の要望に左あごのほくろが際立つように口角を上げた夜彦は両手を構える。
「ミャオーン……ヌッ!」
粘りが強いように鳴いた夜彦は右目でウインクをした。
「寄せてもうてるやん!」
真昼の言葉にようちゃんと僕が爆笑すると、夜彦もつられて歯茎を出して笑ったんだ。
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