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全部、熱のせいだ④

「そもそもの、話。  恋人なんて相手がいたら、あの夜、アンタになんか抱かれてない。  ......ち○こ噛みちぎってでも、逃げてますよ」  下品な言葉を口にしながら、自身の口角が意地悪く上がるのを感じる。  でもずっと体内で燻り、渦巻き、溜め込んできた行き場のない猛毒が溢れ出すのを、止める事が出来なかった。 「......んだよ、それ。  いつ、別れたの?」  驚いた様子で、聞かれた。  何を、すっとぼけてんだよ。  僕が振られたの、アンタも知っ......  あれ?ちょっと、待って。  ......もしかしてこの人、本当に知らなかった......のか?  元々ノンケだった恋人に、他に気になる女の子が出来たから僕との不毛な関係を終わりにしたいと、手酷く振られた翌日。  格好つけて笑顔で別れを受け入れた癖に僕は一晩中泣き続け、目元を腫らしたまま出社した。  それは金田さんはおろか、あのワガママで意地悪な十和子さんでさえ心配し、慰めようとしてくれた僕の人生最大の黒歴史。  ......でも、そう言えば課長、あの日は出張で居なかったかもしれない。  ってことは、コイツ。  僕に恋人がいると思ってたのに、レイプ紛いの行為で初めてを奪ったってこと?  ......それはそれで、本当に最低な野郎だな。  今度は嫌悪感を綺麗に包み隠して、笑顔で彼に噛み付いた。 「だーかーらー!  それを今さらあなたに答える意味、あります?  酔った勢いだけで、遊びで僕の事を無理矢理犯して。  ......なのに全部無かった事にして、ヤり捨てた癖に」

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