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日曜日の朝は~side田畑~④
「全然、足りねぇ。
......もっと、貪らせろ」
そのまま床に押し倒し、延長戦に突入。
そして行為が終わった後、腰が砕け、動けなくなってしまった彼は、ベッドに横たわったままにっこりと微笑み言った。
「いい年して、ホントがっつき過ぎなんですよ。
やっぱりあなた、馬鹿なんですか?」
......この顔は、相当キレてるな。
でもさすがにちょっと申し訳なく思い、素直に謝罪の言葉を口にした。
「......すまん」
すると久米君はプッと愛らしく噴き出した後、クスクスと笑いながら言ってくれた。
「素直過ぎるのも、なんかちょっと気持ち悪いですね。
全く、もう。
彼には、断りの連絡を入れておくので。
......夕食には、さっぱりしたパスタが食べたいな」
その言葉に、自然と笑顔が溢れた。
そしてそれを見た久米君は心底嫌そうに、死んだ魚のような目を俺に向けた。
***
そして、日曜の朝。
俺は彼の、新たな一面を知る事となる。
つっても職場のデスクに並べられた、フィギュアを見て気付くべきだったのかも知れないが。
......そう。彼は、特撮ヲタだったのだ。
「わぁっ、すげ!
ねぇ、今のアクション見ました?
課長、見ました?
ねぇ......、ねぇってば!」
興奮した様子で頬を真っ赤に染め、彼が俺の腕を引っ張る。
ごめん、正直全く見てなかった。
ずっと久米君の横顔、見てた。
......お前やっぱ、可愛い過ぎるんだよ!
【...fin】
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