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日曜日の朝は~side田畑~③
久米君はなおもニヤニヤと感じの悪い笑みを浮かべたまま、俺にしなだれかかるみたいにして身を寄せて来た。
そしてスマホの画面をタップして、見せられたのは楽しそうに、一緒にスーパーから出てきたあの男と二人でカラオケを熱唱する写真。
迷いなく見せ付けてくるって事は、疚しい事は何もないっていう意味なのだろう。
......でも何だよ、その楽しそうな顔。
俺の前ではそんな表情、した事ねぇだろうが。
自分の眉間に、深いシワが刻まれるのを感じた。
「臣 くんね、すっごい可愛いんですよ!
趣味も合うし、性格も良いし、話しててホント楽しくて。
......何処かの誰かさんとは、大違いですよねぇ?」
俺の事はプライベートの場でも、課長って呼ぶ癖に。
......なのにその男の事は、なんで名前で呼んでんの?
たったそれだけの事で、一気にHPを削がれた。
「......お前、マジで性格悪過ぎだろ」
恨みがましい気持ちを込め、じとりと睨みつけた。
すると彼はクスクスと楽しそうに笑い、その後自分からキスしてくれた。
それだけでまたちょっと気分が良くなってしまう、単純な俺。
「あとね、恋人持ちなんですよ。
......その子」
顔を覗きこんだままにんまりと、笑われた。
そういう事は、早く言えよ。
......やっぱこいつ、意地悪ぃ。
そのまま後頭部に手を添え、彼の唇を貪った。
「ん......、課長。がっつき過ぎですよ。
さっきヤった、ばっかじゃないっすか」
彼の眉間に、深いシワが寄る。
でも我慢なんか出来ないし、してやるつもりもない。
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