55 / 56

日曜日の朝は~side田畑~③

 久米君はなおもニヤニヤと感じの悪い笑みを浮かべたまま、俺にしなだれかかるみたいにして身を寄せて来た。  そしてスマホの画面をタップして、見せられたのは楽しそうに、一緒にスーパーから出てきたあの男と二人でカラオケを熱唱する写真。  迷いなく見せ付けてくるって事は、疚しい事は何もないっていう意味なのだろう。  ......でも何だよ、その楽しそうな顔。  俺の前ではそんな表情、した事ねぇだろうが。  自分の眉間に、深いシワが刻まれるのを感じた。 「(おみ)くんね、すっごい可愛いんですよ!  趣味も合うし、性格も良いし、話しててホント楽しくて。  ......何処かの誰かさんとは、大違いですよねぇ?」  俺の事はプライベートの場でも、課長って呼ぶ癖に。  ......なのにその男の事は、なんで名前で呼んでんの?  たったそれだけの事で、一気にHPを削がれた。 「......お前、マジで性格悪過ぎだろ」  恨みがましい気持ちを込め、じとりと睨みつけた。  すると彼はクスクスと楽しそうに笑い、その後自分からキスしてくれた。  それだけでまたちょっと気分が良くなってしまう、単純な俺。 「あとね、恋人持ちなんですよ。  ......その子」  顔を覗きこんだままにんまりと、笑われた。  そういう事は、早く言えよ。  ......やっぱこいつ、意地悪ぃ。  そのまま後頭部に手を添え、彼の唇を貪った。 「ん......、課長。がっつき過ぎですよ。  さっきヤった、ばっかじゃないっすか」  彼の眉間に、深いシワが寄る。  でも我慢なんか出来ないし、してやるつもりもない。

ともだちにシェアしよう!