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番外編~茄治視点~ 1

 兄さんが最初にうちに来たとき、ドキッとしたのは誰にも言えない。桔梗という名前も、顔も何もかもキレイだと思った。  最近女とやっても面白くなくて、試しにやってみた。どうせ俺に逆らえるわけないから、好奇心で。  後ろでナニってたとかやばいし、ちょっとひいた。  でも、思ったよりも気持ち良くて、やみつきになりそうだった。  親がいない時を狙ってたんだけど、だんだんそれじゃ足りなくなった。  しかも、兄さんが俺で抜いてるなんて知ったらうれしくて、逆に意地悪したくなったんだ。  俺が何してもうれしそうだし、生粋のMじゃないかと思った。  どうせ同じ部屋なんだから、何やったってバレやしない。  念のため釘を刺しておくのも忘れない。 「他のやつに触らせんなよ」 「そんな人いるわけない」  って兄さんは言うけど、わかってないんだ。その容姿が男も女も惑わすって。  高校は同じとこにした。だっていつ誰に持って行かれるかわかったもんじゃないから。  女に誘われて、めんどくさいからさっさと振ろうとついて行った時、兄さんが見てたのに気付いた。  俺はわざと見せびらかした。  別にその女とは何もなかったけど、兄さんは疑ってて、俺が夜襲ったらすげえ顔をするんだ。  それが、かわいくて、俺の嗜虐心をくすぐった。  誤解を解いてはあげなかった。  泣きそうな顔をしながら、それでも俺を受け入れる兄さんがかわいくて、離したくなくなった。  兄さんが高校卒業するまで残り半年となった時、突然拒絶された。  親との会話を聞かれてたのか、触るなって言われたら、何もできない。  あんなの本心なわけないだろ。  結局何も伝わってないんだと思ったら、どうでもよくなった。  いつ出て行くんだろうと思ってた。出てったら兄さんの家でやり放題だからいいかって思ってた。  夜中に起きてきた兄さんを数か月ぶりに捕まえた。  生でやってとか言ってくる。兄さんの方から言ってきたことなかったし、たまにはいいかと思った。いきながら泣いてたけど。そんなに気持ち良かったのかって。  なのに、次の朝気付いたら兄さんの姿は見る影もなくて、荷物も全部片付いてた。バイブとローションだけは残されていたけれど。  親から出て行ったと聞かされて、頭がついていけなかった。  何で俺に黙って、何もかも捨ててどこか行っちゃうんだよ。  俺が感じたのは寂しさよりも、怒りだった。

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