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保健の授業編『第16話*』

「まあ、何にせよバレなくてよかったじゃないか。じゃ、続きをやろうか」 「えっ!? まだやるんですか!?」 「当たり前じゃん。俺、まだ一回もイってないし。こんな中途半端なところで終われるわけないだろ」 「でも、また誰か来たら……」 「大丈夫だって。その時はまた俺がごまかしてやるから」  ……そういう問題ではないと思うのだが。 「あ、ちょっと……!」  問答無用で両脚ごと身体を引き寄せられ、緩んだ入口を再び硬いもので擦られる。  今にも挿れられそうな状況に身震いしていると、不意に市川が動きを止めて尋ねて来た。 「そういやお前、ゴム使ったことあるっけ?」 「……へっ? ゴム……?」 「だからアレだよ、コンドーム。俺とのセックスではいつも生だけど、実際使ったことあるのか?」 「あ……ああ……まあ、使い方くらいは知ってますよ」  使ったことはないですけど、と心の中で付け足す。というか、使う機会に恵まれなかったから、購入した経験もない。  しかし、何故今そんなことを聞くのだろう。 「そうか、じゃあ念のためにゴム着けとこう。ベッド汚しちゃったらマズいもんな」 「あ……そういうことですか……」  それならば、と思って夏樹はおとなしく市川に従った。  市川がジャージのポケットから避妊具を取り出し、手際よく陰部に装着していく。ボールギャグに加え、何故そんなものまでポケットに入れているのかについては、ツッコまないよう心掛けた。 「うん、これでよしと」 「っ……」  ごく薄いゴム膜に覆われた陰茎を、市川が軽く指で弾いてくる。  何かに覆われている感覚はあるものの、感度は剥き出しの状態とさほど変わらず、夏樹はぴくんと小さく肩を震わせた。

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