「俺、彼女出来たよ。」 うん。いつかは、って思ってたよ。 「そっか。橋本さん？」 「そう！！昨日のデートの帰りに勇気出して告白したらOKもらえたんだ！俺のことも前から気にしてくれたらしくて…」 そう笑顔で語り出す聖夜を見て 「おめでとう、よかったな。」 うまく笑えているだろうか。 視界が歪む。 （無理だ。抑えられない） 涙があふれ出そうだった俺は 「悪い！！！漏れそうだからトイレ！！」 と言って走り出した。 「え！ちょっと翼！？あ、でもそれはやばい、早く行かないと！！」 漏らすなよーと遠くから聞こえる声にうるせえ誰のせいだと心の声で返してやる。 トイレの中でめちゃくちゃに涙が出た。 「うっぐ…ひっく…うっ… せいやのばぁかっ」 俺の初恋は儚くもこの時散ったんだ。