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第45話
ちゅっ…
長めに触れる唇。
目を開けたまま…キスの瞬間も逃さず間近から涼真を見つめて…見つめ返され…ん…?
んんん~?
バチッと涼真と目が合って…
…ドキン…と胸が大きく打った。
瞬間、サーッと血の気が引いていく…。
「りょ…涼真…起きて…」
「俺…まだ夢見て…郁弥と…ふふ…」
アタフタする間もなく固まる俺にふにゃりと笑い涼真の瞼が重たそうに落ちた。
「…寝た…?寝ぼけてた…?」
再び静かに寝息をたてる涼真。
…と、とりあえずセーフ…?
今度は顔から火が出そうなほど熱くなった。
ヤバい…
出来心とはいえ…涼真にキスしてしまった…。
しかも目が開いたよな…?
気持ち悪いって思われたかな?
でも寝ぼけてたっぽいし…覚えてない可能性だってある…よな…?
夢見てたって言ってたけど…一体どんな夢見て笑ったんだか…
運動会の疲労があるはずなのに…その夜俺はなかなか眠れなかった。
「とと~朝~~!」
「ぐえっ」
真咲が布団の上から俺に跨ってぎゅうっと抱きついた。
「あれ?もう起きた?何時…」
「10じは~ん!」
「ええ!もうそんな時間なの?」
「パパがご飯食べようって」
「悪い、今すぐ作るからちょっとだけ待ってて」
真咲を降ろし、パジャマのままスリッパをつっかけて台所に急ぐ。
しまった、寝過ごした…。
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