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第48話

…これは… 丸めるようにして押しやってあったのだろう。 薄いサテンの生地に皺がついていた。 「これ…咲百合の…じゃない…よな…」 ペラッと広げて自分の体に当ててみれば、それは自分には若干サイズが小さいようだ。 「俺の身長が192で涼真が178…。咲百合は160位だったから涼真ならピッタリか?」 …空想と連想を総動員して考えてみれば、これはきっと涼真の性癖…。 俺がとやかく言う…そんなつもりもないが…問題はそこじゃない。 正直、…正面から見たい。 好きな奴がこんなセクシーなモン着たら、そりゃ見たいだろ? 「ちゃんとしまっとかないと」 ダメダメ、今はその時じゃない。 …その時が来るかどうかも分からないけど。 「とと〜!なっちゃん家に行っていい?」 帰ってくるなりドタドタと大きな足音をたてて、真咲がリビングに入ってきた。 その後ろには涼真。 「いいけど、おやつの時間には帰ってこいよ」 「は〜い!」 「それから、知らない人にはついて行かない事」 「は〜い!」 「行ってよし!」 きゃあ〜と玄関にトンボ帰りして、真咲は最上階に住む夏羽の所に出かけて行った。 「夏羽くんとスナック菓子食べるんだって」 「涼真、おかえり。ああ、そういう事」 「流行ってるみたいでさ、もう最後の二つだった」 「へえ」 コンビニ袋をガサガサいわせ、涼真は中からアイスを取り出した。 「俺達はこれ食べよう」 「お、ちょっといいやつじゃん」 「真咲には、内緒」 そう言って涼真は片目をつぶって見せた。

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