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第50話
舌先でアイスを溶かしその味を堪能する。
「うわー!鼻から抜ける抹茶の香りがいい!」
「美味いだろ?あ…」
涼真の指が俺の顔に触れ、指先が唇を拭った。
「郁弥だって」
俺の目を見つめたまま赤い舌がその指を舐める。
「な…なんだか今日の涼真…エロい…。目の毒なんですけど」
「え…いや…そんな…い、郁弥は昔からカッコよくて…いや、今も…ずっとだけど…」
涼真は急にしどろもどろになって目が泳ぎだす。
「そ…そうかな…ありがと」
俺の事、そんな風に思ってくれてたのか。
面と向かって言われると…照れるな…。
表に進んで出てくるタイプじゃないけど優しく笑って見守ってくれる、涼真はそういうタイプ。
「俺は涼真の優しいところが好きなんだ」
「え!あ、ありがと」
好き、なんて言葉、初めて涼真に言えた。
真っ赤になって狼狽えてる涼真を見るのも初めて…。
いつも真咲が涼真の側にいるから、二人きりでこんなに長い時間いたこと無い。
俺は随分と久しぶりの感覚に、緊張感が高まっていく。
「えっと…あのさ…俺と真咲…ここを出ていこうと思う…」
は?このタイミングで?何言って…?
高揚していた気持ちが、一瞬でどこかに散ってしまった。
「何で?俺、何がダメだった?」
寝耳に水のような涼真の言葉。
「ねえ、言って。嫌な所は直す!涼真!」
「違うよ。郁弥に嫌な所なんかある訳ないだろ!」
涼真はさっきとは打って変わって悲しそうな顔を見せた。
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