8 / 588

王子との出会い

はぁ・・・・・ もう何度目になるか分からないため息をついた。 酔っ払いの相手を今までしたことがないから分からないけど、みんなこうなのかな? 「和真さん、こんなところで寝ていたら風邪をひきます。起きてください」 あれからすぐに、テーブルに突っ伏して寝てしまった和真さん。 何度か肩を揺すぶり起こそうと試みたけどびくともしなかった。 仕方がないから寝室から(家のなかは一通り彼に案内してもらった)毛布を引っ張り出してきて、背伸びして彼の背中に掛けた。 和真さんの耳って意外と大きいかも。 好奇心からそぉーと手を伸ばし耳朶に触れてみた。 ひんやり冷たい。それでいて固い。 あれ?耳朶ってこんなに固かったけ? 確認するためもう一度耳朶に触れてみた。そしたら、 「痛い‼」 彼がいきなり大声を上げたから、びっくりして慌てて手を離した。 「ごめんなさい。悪戯するつもりも、起こすつもりはなかったんです」 「俺の方こそごめんな大きい声を出して。俺の耳、普通のひとと違って固いんだ。だから触られると激痛が走るんだ。冬なんかすぐに霜焼けになって我慢出来ないくらい痛くて、酷いんだ。冬生まれなのに、冬が大嫌いなんだ」 「冬、生まれなんですか?」 「あぁ、そうだ。1月8日生まれだ」 「え?嘘?」 驚きすぎて声が裏返った。 「もしかして誕生日が一緒とか・・・冗談じゃなくて、本当なのか?」 正直にうん、と頷くと、今度は彼が驚く番だった。

ともだちにシェアしよう!