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王子さまとの出会い

「これからは和真さんって呼びます。じゃあ、あの・・・・お、おやすみなさい」 二人きりになるのが気まずくて、頭を下げてリビングを出ようとしたら彼に呼び止められた。 「なぁ四季。同じ男なのに、なんでそんなに恥ずかしがるんだ?」 お風呂に一人で入るのが大変なら手伝うぞと彼に言われたけど、機嫌を損ねないように丁重に断ったつもりだけど、また気に障ることでも言ったかな? 「迷いこんだ猫を保護したつもりだったんだけど、迷惑だったかな?」 「猫……?僕が?」 きょとんとして首を傾げていたら、缶ビールを揺らしながらクスクスと苦笑いされてしまった。 「オークポリマーといったら樹脂加工・業界トップシェアを誇る上場企業だ。その創業一家の次男坊、それだけでちやほやされて、次から次にとっかえひっかえいろんな女と付き合ってる。根も葉もない話しをでっち上げられて、否定しても誰も信じてくれないし……いろいろありすぎて精神的に参っていたのかも知れない。ごめんな四季。帰りたければ帰ればいい」 寄り辺のない寂しさを紛らわす為か、ぐいと缶ビールを一気に呑み干す和真さん。 はじめて会ったばかりの人なのに、なぜこうも気になるんだろう。 ーー秘密を守るため、他人に深く関わっちゃダメ。傷付くのは四季だよーー 幼馴染みで職場の先輩のきよちゃんの声が脳裏を過った。 それは分かる。 分かるけど…… 見ず知らずの僕を雨宿りさせてくれた彼をほっとくなど出来ない。 怖い人だと思っていたけど、本当は優しい人なのかもしれない。

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