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王子さまとの出会い
「和真さん、ごめんなさい。ずっと待っていたんですよね?」
「ううん。いま、来たところだけど」
爽やかな笑顔でさらりと言い返されてしまった。
本当は2時間近くも待っていたのに。
僕を気遣ってくれる彼の何気ないその優しさが涙が出るくらい嬉しかった。
「きみにこれを渡したくて」
紙袋を手渡された。
中を覗きこむと横文字が書かれた小さな長方形の箱が入っていた。
「あの………和真さん?」
「あのあと気になって調べたんだ。公衆電話があるコンビニって意外と数が少ないんだよ。もし運良く見つけたとしても、四季の手が届かない。誰かに頼むしかないってことに気が付いた。俺に電話を掛けるために苦労を掛けさせたくないんだ。だから、そのスマホを使ってほしい。勿論、通話料は気にしなくていいから」
僕の気のせいかも知れないけれど、和真さんの表情が強張ったような気がして。後ろをチラッとみた。
そこにいたのはきよちゃんだった。
「はじめまして、朝宮と申します」
「四季の同僚の橋本です」
和真さんが不愉快そうに眉を潜め、きよちゃんを一瞬だけ睨み付けた。
「じゃあ四季、またあとで。仕事に戻らないといけないから。いつでも連絡を寄越していいから」
でもすぐにもとの表情に戻ると、それだけ言い残し、何事もなかったように颯爽と車に戻っていった。
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