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王子さまとの出会い
親切なタクシーの運転手さんとオークポリマーの警備員さんに助けてもらいなんとか無事に建物の中に入ることが出来た。
忙しく早歩きで行き交う大勢の社員に呆気にとられながらもエレベーターの前まではなんとかたどり着いた。
問題はそこから先。
どうやってエレベーターに乗るかだ。
「すみません、あの………」
ドアが開くなりみんな我先にと乗り込んでしまい、僕の存在に気付いてくれる人は誰もいなかった。
どうしよう………
会議は10時からはじまっているのに。
一石も早く社長に届けないといけないのに。
焦りばかりが募るばかりで、どうすることも出来なかった。
ちょうどそのとき、ポケットに入れてあったスマホがぶるぶると振動した。
誰だろう?番号を知ってるのは和真さんときよちゃんとたもくん3人しかいない。
画面を覗くと和真さんからだった。
昨日みたく間違って着信拒否を押さないように細心の注意を払い通話ボタンをポチっと押した。
『本社に無事に着いたみたいだね。良かった』
え?何でいるって知ってるの?
ビックリしてスマホを握り締めたまま、キョロキョロと辺りを見回した。
『今どの辺?』
「エレベーターの前です。みんな早くて、すみません乗せてくださいって声を掛けられなくて………僕、人込みとかだめなんです。酔って気持ち悪くなっちゃって、それに人見知りで」
『そうか。嫌な思いをさせてすまない。すぐに迎えにいくからそこで待ってて』
「忙しいのにごめんない」
『気にしてないよ。だからいちいち謝ることはないよ』
彼が気遣うように声を掛けてくれた。
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