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和真さんの側にいれるしあわせ

ご飯粒を頬っぺに付け、取ってと言わんばかりに指の腹でツンツンされた。 「和真さん、わざとでしょう」 「わざとじゃないよ。早く取って欲しいな」 嬉しそうににっこりと微笑みを返された。 「もうしょうがないんだから」 一粒取ってあげると、箸で摘まんだご飯粒をまた頬っぺに付けた。 「和真さん、食べ物で遊ばないの」 「だって、四季の怒った顔がすっごく可愛いから。それに」 そこで一旦言葉を止めると、 「敬語を使われると他人行儀みたいで嫌なんだ。だから、素のきみを見れるのが嬉しいんだ」 全然懲りていないようだった。 回りにいた家族連れやカップルがチラチラと僕らを見てなぜかくすりと苦笑いをしていた。 「なぁ、四季」 ご飯を食べていたら、和真さんの指先が頬に触れてきて。 箸を持ったまま固まってしまった。 言葉を探すも、混乱し頭が上手く回らない。 すっかり固まっていると、 「ごめんな、びっくりさせて。今すぐにとは言わない。俺の家に引っ越してこないか?四季といると時間が過ぎるのも忘れるくらい楽しんだ。だからもっと一緒にいたい。それに俺、自分でいうもの変だけど、その、生活能力ゼロだろう?だから四季に面倒をみてもらいたい」 「えっと………」 真っ直ぐに見詰められ心臓がドキドキし、身体がみるみる熱くなった。

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