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神様がもし許してくれるなら彼の側にいたい
「ごめんな、俺ばかりはしゃいで。ドン引き……してないか?」
「ううん、大丈夫です。和真さんが楽しそうだと僕までが楽しくなるから」
「そうか。それなら良かった。四季に嫌われたらどうしようかと、気が気じゃなかったんだ」
安堵のため息をもらし胸を撫で下ろしていた。
「あの、和真さん」
「あ、そうだった。話しの途中だったね。助手席に落ちていたんだ。これ、四季のだろう?」
四葉のクローバーのキーホルダーを差し出された。
「うちの玄関の鍵と会社のロッカーの鍵と……あれ?これ僕のじゃないです」
「四季のだよ。合鍵付けておいた。これでいつでも俺の家に来れるだろう?」
和真さんにぽんと渡された。
それまでの明るい表情が一転し、真剣な眼差しで遠くの景色を見据えた。
「きみが心に受けた傷は一生消えないと思う。正当防衛とはいえ三日間、一日8時間近く事情聴取を受けたんだ。それだけじゃない。担当した捜査員に性的マイノリティに対する差別的とも侮辱的ともとれる事を一方的に言われて相当辛かったはずなのに、きみは一切反論しなかった。心が気高く芯が強い人だって、きみを担当した国選弁護人が話してくれたよ。もっと早く四季に出会っていれば、きみにこんな辛い想いも、哀しい想いもさせずに済んだのに。悔やんでも悔やみきれないよ。ごめんな四季。これからは俺が全力できみを守る。いや、守らせてくれ」
やり場のない怒りに声を震わせ、手押しハンドルをぎゅっと強く握った。
あれから2年過ぎてもなお、いまだに夢の中に現れては僕を苦しめる。
取調室には弁護士は入れない。
窓もない小さな箱の中。
逃げることも出来なくて。書類を書きながら、捜査員に何度も何度も同じことを聞かれて。
本当に辛かった。
最後に鍵なしでは入れない拘置所みたいな別棟に連れていかれた。
口の中に綿棒を入れられDNAを採取され、指紋を撮られ、掌紋を撮られ、全身、横の写真を撮られた。
そのとき、早う立たんか!
もたもたするな!
捜査員に車椅子を足で蹴られたことは一生忘れないと思う。
素直に従わなければ罪が重くなる。
正当防衛じゃなくなる。
ただただ恐怖でしかなかった。
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