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神様がもし許してくれるなら彼の側にいたい
「和真さん」勇気を振り絞って声を掛けると、
「ん?」
怪訝そうに顔を覗き込まれた。
「体、重いから、その……えっと……」
じっと間近から見詰められて緊張しつつも、彼を見つめて言葉を必死で継いだ。
「こんなの重いうちに入らないよ。それに、四季を全力で支えるって約束しただろう?」ふっと彼の表情が緩んだ。
「俺の方が年上なんだ。遠慮せず甘えてほしいな」
くすりと苦笑いされてしまった。
「き、綺麗ですね」
頬を仄かに染め話題を逸らそうとしたけれど、
「四季の方が何十倍も綺麗だよ」
目元を和ませ、男の色香の漂う熱っぽい瞳で見詰め返された。
朱くなったまま応えられずにいたら、
「あの~~ガーデンウェディングで挙式を予定されている助川さんご夫婦ですか?」
背後からボランティアスタッフの女性に声を掛けられた。
「す、すみません。人違いでした」
慌てて頭を下げると、一旦出入口へ向かったけれど、茶封筒を握り締めすぐに戻ってきた。
「開花の時期に合わせ4月から10月まで、月に一組限定で市民庭園でのガーデンウェディングのプレゼントをしているんですよ。披露宴は提携する式場で、という条件はありますけど、もし良かったら是非応募してみてください」
女性はそれだけ言うと茶封筒を僕の脇の下に潜り込ませるとそそくさといなくなってしまった。
いくらなんでも女性には見えないと思うんだけどな………首を傾げていると、
「物は試しだ。応募してみるか?」
「はひ?」
予想もしていなかったまさかの言葉に驚いて、素っ頓狂な声が思わず出てしまった。
「俺とはそんなに嫌か?」
今にも泣き出しそうな哀しい顔をされて、慌ててぶんぶんと首を横に振った。
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