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ただいま駆け落ち中(仮)

脱衣所のドアを開けると中はファンヒーターの温風でぽかぽかと暖かくなっていた。 「姉さんのお節介やきと面倒見の良さはお婆ちゃん譲りなんだ。大丈夫?引いてない?」 「はい、大丈夫です」 「お爺ちゃんも四季に会いたくてしょうがなかったみたいだ。だから、ほら、四季が風邪をひかないようにってファンヒーターをわざわざ倉庫から引っ張り出してくれたんだよ」 「ちゃんとお礼を言わなきゃ」 「そうだね」 車椅子を押してくれていた手を離すと、自分が着ているものをひとつひとつ脱ぎはじめた。やせっぽちの貧弱な体の僕とは比べようもないくらい大人の男の人の身体だ。 逞しい身体に思わず頬が熱くなる。 しなやかに筋肉のついた身体は、細身だけど均整が取れている。 思わず見とれてしまうと、目が合った和真さんに苦笑いされてしまった。 「先に行って待ってるよ。ゆっくりおいで」 全てを脱ぎ終わると浴室へ入っていった。 一度彼に見られているから今さら恥ずかしがっている場合じゃないのは分かってるけど、恥ずかしいものは恥ずかしいんだからこればかりはしょうがない。 深呼吸して気持ちを落ち着かせてから、シャツのボタンをひとつずつ外し、時間がいつもの倍掛かったけど何とか服を全部脱いだ。 でもやっぱり恥ずかしくてバスタオルで前を隠してから意を決し浴室のドアを開けた。 あれ?和真さんはなぜか後ろ向きにお風呂に入っていた。

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