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忍び寄る殺意
僕たちの結婚をお爺ちゃんやお婆ちゃん、それにご近所の皆さんが心からお祝いしてくれた。
怖いくらい幸せで、本当にいいのかな。
バチが当たらないかな。
不安ばかりが募った。
縁側から深い紺色の空を見上げると無数の星が瞬いていた。
「身体が冷えるぞ」
背後から声が聞こえてきて。
振り向くと、そこには浴衣に着替えた彼が立っていた。
「副島に俺の着替えも持ってきてくれと頼んだはずなのに、四季の着替えしか紙袋に入ってなかったから、昔着ていた浴衣をお婆ちゃんに引っ張り出してもらったんだ。やっぱり変か?」
凜とした佇まいに思わず目が吸い寄せられた。
スーツ姿が似合っていることはよく知ってるけど、浴衣姿も見とれるほど格好いい。
声も出ず固まっていたら、彼が笑いながら髪を撫でてくれた。
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