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焼きもちを妬いてばかりの彼

「この件は斉藤と吉村に任せよう。あまり深入りはしない方がいい。寒くないか?」 彼が腕枕をしてくれて。布団を掛け直してくれた。 「和真、10分交代な」 「は?誰だよさっき焼きもちを妬かないって言ったのは?」 「言った記憶はない」 しれっとして答える副島さんに、さすがの彼もお手上げ状態だった。 「あ、そうだ。たもくんときよちゃんとは小さい頃から一緒だったんだろう?」 「人見知りでなかなか新しい環境に馴染めなくていつも一人で遊んでいた僕にたもくんが声を掛けてくれたんだ。たもくんも僕と同じ頃に施設に来たみたいで、人見知り同士友だちになろうって言われたんだ」 「へぇ~そうなんだ」 彼の顔色をそぉーと伺いつつ言葉を続けた。 「きよちゃんは僕が小学4年生のときに施設にやってきた。お人形さんみたく顔が小さくて目がくりくりしてて、身長も高くてすらっとしてて、すごく大人びていた。だから、その……」 「男性職員に目を付けられた?」 「うん。多分……でも、高校生の先輩と付き合っていたみたい」 「小5でか?随分とませた子どもだったんだな。というか、今のきよちゃんとはだいぶイメージがかけ離れているよね」 「まるで別人だ」 「きよちゃんとはあまり喋ったことがないんだ。でも、たもくんと付き合うようになって、きよちゃんと少しずつだけど話すようになって仲が良くなったんだ」 「そうだったんだ」 肩をそっと抱き寄せられた。

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