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暗澹

車椅子から抱き上げられ、静かに布団の上に寝かされると頬に優しい指先が触れてきた。 あえかな声を溢すと、次第に口付けは深さと甘さを増していく。 「っん……っ」 そのまま肩を抱き締められ、全身を彼の温もりに包まれる。 空いている手でそろそろと彼の腕を辿ると、服をぎゅっと握り締めた。 その時、ぶるぶると彼のスマホが振動した。 「和真さん、電話……」 「どうせ副島からだ。あとで掛け直すよ。四季、もっと強く抱き締めてもいい?」 掠れた声で囁かれれ、首まで朱色に染めながら小さく頷くと、抱きしめてくる腕にゆっくりと力が込められる。 「ありがとう」 そしてそのまま包み込むように抱き締められ、幾度となく優しく髪を撫でられた。 「和真……さん?」 視界の真ん中で微笑んでいた彼の表情がみるみる険しくなっていった。 「副島も姉さんもどうやら俺たちを二人きりにしたくないらしい」 困ったようにため息をつくと、頬に柔らかく口付けられ、唇に、彼の唇がそっと触れてきた。 「少し待っててくれる?姉さんと櫂さんに隆之さんの話しをしてくる」 「うん、分かった」 頷くと安心したようににっこりと微笑んでくれた。

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