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報われない想い
しばらく呆気に取られていた彼の顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「姉さんのお節介やきは一体誰に似たんだ。子どもは授かり物だってよく言うしそう簡単には……な、四季」
しまいには頭を抱えてしまった。
「え?あ、う、うん」
心の中でまずは落ち着けと何度も言い聞かせながら、なるべく平静を装った。そのつもりではいたけど、
「顔が引きつってるよ」
クスクスと笑われた。
僕の考えていることなどすべてお見通しだ。やはり彼には隠し事は出来ない。
気まずい空気が流れ、どうしていいか分からなくて。まともに彼の顔を見ることが出来ずにいたら、
「とりあえず寝よう。そうしよう」
彼が布団一式を押入れから引っ張り出してくれて畳の上に敷いてくれた。
お尻を横にずらしながら布団へ移動しようとしたら、身体がふわりと浮いた。
「さっきも思ったんだけどちゃんとご飯食べてる?色々あってご飯が喉を通らないのは分かるけど、ちゃんと食べないと。四季が元気じゃないと俺まで元気じゃなくなる」
静かに布団の上に下ろされ、触れるか触れないくらいの優しいキスをしてくれた。
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