314 / 588

コオお兄ちゃん

「まだ産まれてもいない姪にまで焼きもちを妬くのかお前は。大人げないぞ」 「う、五月蝿いな」 副島さんに耳の痛いことをズバズバと言われ、これでもかと頬っぺを膨らませた。 するとその頬っぺを結お姉さんが愉しそうに人差し指でツンツンとつついた。 「あーちゃんにまで焼きもち妬くなんて、本当に大人げないよか~~ず~~ま~~聞いてる?」 「頼むから耳元で大きい声を上げないでくれ。ちゃんと聞こえているから。それと姉さん、耳」 「ん?耳?」 結お姉さんの手が彼の耳朶を何気に掴んでいた。 「あら~~ごめんね。気付かなかった」 「わざとだろう。いててて」 両手で右耳を押さえ苦悶の表情を浮かべ突っ伏した。 「和真さん、大丈夫」 肩に手を置き、もう片方の手で耳を擦る訳にはいかないから背中を優しく擦った。 「やっといなくなったみたいだな」 副島さんがカーテンをチラッと見た。 「もう大丈夫だから、結は部屋に戻れ」 「またそうやって仲間はずれにする」 結お姉さんが不満を露にし、副島さんを睨み付けた。

ともだちにシェアしよう!