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コオお兄ちゃん

僕を恨む義之さんを、きよちゃんは言葉巧みに仲間に引き込み、いいように利用するだけ利用して来たんじゃないか。 義之さんはそのことに気付き、きよちゃんに復讐するためにまなみ先生と手を組んだ。 彼や副島さんがそんなことを話していた。 「まさか四季くんの手料理が食べられる日が来るなんて。嬉しくて涙が止まらなくなっちゃった」 「副島さんのお父さんのお口に合えばいいんですけど」 朝ごはんのメニューは、副島さんのお父さんが庭の家庭菜園で作ったじゃがいもと玉ねぎを使ったお味噌汁と、たまねぎとキャベツのコールスローサラダ。それに厚焼き玉子と煮魚だ。 「じゃがいもも玉ねぎも甘くて美味しい」 結お姉さんが歓声を上げた。 「採りたて、旬のものだからね」 「ねぇ四季くん、副島さんのお父さんって呼びにくくないの?」 言われてみれば確かにそうかも知れない。 「浩太郎兄さん、征之さんって呼んだら?ふたりは四季くんにとって親代わり、兄代わりなんだもの。気を遣う必要はないと思うよ」 「結、たまにはいいこと言うな」 「でしょう」 副島さんと副島さんのお父さんにじーと、穴が開くくらい見つめられ、さすがに恥ずかしくなってきた。 「………コオお兄ちゃん、征之おじちゃん」 浩太郎兄さんより、やっぱりコオお兄ちゃんの方が呼びやすい。 征之さんなのになんでだろう。気付いたらそう呼んでいた。

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