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コオお兄ちゃん
「じゃあ、俺も浩太郎さんって呼ぼうかな。それともコオお兄ちゃんがいいか?」
「俺を兄と呼んでいいのはこの世界でただひとり、四季だけだ。和真にさん付けで呼ばれるくらいなら、呼び捨てにしてもらった方がいい」
「じゃあ、私も浩太郎って呼ぼうかな」
「櫂に焼きもちを妬かれても知らないぞ」
結お姉さんが台所に立つ櫂さんに視線を向けると、
「副島は結の唯一、仲のいい男友達だ。それに、僕の大事な弟である四季くんの兄でもあるから、焼きもちを妬いたらそれこそバチがあたるよ」
櫂さんが笑顔で飲み物を運んできた。
「ここにもいたか……」
彼がぼそっと呟くと額に手をあてた。
「だって似た者夫婦なんだもの。しょうがないでしょう」
その時副島さん……じゃない、コオお兄ちゃんと征之おじちゃんのスマホが同時に鳴り響いた。
「何かを感知したようだ」
朝から和気あいあい、とても賑やかに盛り上がっていた僕たち。コオお兄ちゃんのその一言で場が一瞬し~~んと静まり返った。
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