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コオお兄ちゃん

「一筋縄ではいかない女、人の物でも何でも欲しがる女、好きな(ひと)は束縛し監視する女、世の男はみな忠実な(しもべ)ーー私がもし、まなみ先生だったら……あら~~やだ、もしもの話しよ。櫂くん、私は橋本さんみたくならないから安心して。そういう子に育ててしまった自分への怒り、自分を愛してくれなかった夫への怒り、大事な甥と四季くんをゲームの駒にされたことへの怒り、ずっと我慢して来たんだもの。いつ堪忍袋の緒が切れてもおかしくない」 「育ててもらった恩もあるのに……女性は怖いね」 「あら、私のこと?」 「一言も結のことだって言ってないよ」 結姉さんと櫂さんがそんな会話をしていたら、柾之おじちゃんがスマホを耳にあてながら息を切らし戻ってきた。 「やはり誰かが庭に侵入したみたいだ。新聞紙の燃えかすが残っていたよ」 「白昼堂々と、人の目だってあるのに……副島は?」 「お迎えさんにも実は防犯カメラがあってね、ゴミの不法投棄があとを絶たないんだよ。防犯カメラの画像を見せてもらってくるって、野菜を手土産に向かった。なぁに、すぐに戻ってくる」

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