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深まる謎

「朝宮和彦さんに親子鑑定のためDNAの採取に協力してくれと頼みに行ったが、そんな名前の息子はいないと門前払いだ。もしかしたら和真くんなら協力してくれるかも知れない。それで一宮さんに和真くんがここにいることを聞いた」 城さんがテーブルの上に写真を一枚静かに置いた。 「あの城さん、答えられる範囲でいいですから、兄かも知れないこのひとのことを教えて頂けませんか?結婚は?家族はいたんですか?」 写真をじっと見つめながら彼が城さんにそんなことを質問した。 「名前は鈴木。年齢は45歳。8年前に職場で出会った女性と結婚して子どもが4人いる。家庭的で子煩悩な父親。馬鹿が付くくらい真面目な男。犯罪に巻き込まれるような人には到底思えない。みな、口を揃えてそう言ってる」 「詐欺まがいのことをして女性を騙し金品を巻き上げ、その金で整形しネットで新たな戸籍を買い、別人として生きている。一年くらい前かな、そんな話しを小耳に挟んだ」 彼の大きな手がすっと伸びてきて、左手を包み込むように、ぎゅっと握り締められた。 「城さん、私には守るべき大切なひとがたくさんいます。妻を巻き込む訳にはいかないんです」 その時、城さんの部下の刑事さんが居間に入ってきた。 「鑑識は?」 「もうじき到着します」 「久保木と椎谷の尻尾が掴まればいいんだが」 城さんが腕を前で組んで難しい表情を浮かべた。

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