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結ばれた恋

「レンタルスペース?レンタルボックスのことじゃないかな?」 コオお兄ちゃんがスマホをかざし鍵を撮影した。 「だいたいは鍵だけで開け閉めが出来る。それが鍵と暗証番号、ふたつ必要なレンタルボックスといったら……」 「心当たりがあるのか?」 「前に一度、営業の小島から聞いたことがある」 「小島って、確か武田の部下だったな」 「あぁ、そうだ。上の階の住人が水を出しっぱなしにして出掛けて、部屋が水浸しになったんだ。被害を免れた家電や本などの荷物をレンタルボックスに一時預けていたんだ。その料金も上の階の住人に弁償してもらえるのか何度か相談された。小島が借りていたレンタルボックスは鍵と暗証番号、ふたつ必要だって聞いた記憶があるんだ」 「弁護士の友だちがふたりもいるのは副島。君ぐらいだからな」 コオお兄ちゃんが電話をしてくる、そう言って階段を駆け下りていった。 「四季くんごめんね」 「なんで初瀬川さんが謝るんですか?謝る必要なんてないのに」 「だって……」 「義之さんは、まなみ先生を命がけで守ってくれた。感謝しなきゃいけないのは僕の方です」 「四季くん、あなたって子は……」 初瀬川さんが驚いたように目を見開いた。

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